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【特集】大谷正之氏【通過点“2万2000円”、上昇トレンドの向かう先】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―日経平均きょうも騰勢維持、止まらない実需買いどこまで―

 東京株式市場は日経平均株価が寄り付き高く始まったものの、その後は目先スピード警戒感から利益確定売りに押され、前週末の終値近辺を往来する膠着感の強い展開となった。騰落レシオは日経平均に限れば、前週末時点で160%弱と極めて過熱感の強い領域に達している。一方、押し目形成場面では日銀のETF買いや、出遅れていた国内外機関投資家の実需買いが厚く、深押しする気配もない。11月相場の見通しについて、市場第一線で活躍する識者の意見を聞いた。

●「日経平均は11月中に2万3000円台を目指す展開に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 日経平均は、10月初めから急ピッチな上昇を続けていることから、いつ調整局面になっても不思議のない状態といえる。ただ、中長期的には買い意欲は旺盛で、深押しはなさそうだ。11月相場にもいくつかのハードルが想定されるが、それらを順次クリアしていくことでジリ高歩調が継続しそうだ。

 日程の近いところでは、米連邦準備制度理事会(FRB)議長人事、トランプ米大統領の来日が株価変動要因となり得るが、これらを大過なくこなせば上昇基調は持続しそうだ。これまでの4-9月期決算の内容を見ると、利益の進捗率が高水準の銘柄が多く、通期業績見通しの上方修正に踏み切るケースも目立っている。

 決算発表に伴う業績の底上げを追い風に、日経平均は11月中には2万3000円台乗せを目指す展開となりそうだ。調整場面が到来しても、今後上昇が予想される25日移動平均線が下値支持線となり、2万1500円程度の水準が下値メドとなりそうだ。

 ここ1ヵ月間の上昇相場の牽引役は海外投資家だが、とくに欧州系の買いが目立っているようだ。欧州中央銀行(ECB)が現地26日の定例理事会で、量的金融緩和政策の規模縮小開始の方針を決定したものの、縮小が緩やかなペースになるとの受け止めが広がり、欧州株式市場は堅調な推移が予想される。欧州投資家は日本株の割安さに注目しており、今後も買いが継続しそうだ。

 今後の物色は、半導体関連、EV(電気自動車)などのハイテク関連をリード役に、景気敏感の素材関連、海運株、金融株などへも広がりをみせることになりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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