【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「高値形成局面へ、山高ければ風雨強まる」
株式評論家 富田隆弥
◆10月2日から始まった日経平均株価の連騰記録は24日の「16」で止まった。それにしてもすごい。サイコロジカルラインも12勝0敗を5日間続けたが、次にこのような大記録を更新するのは、おそらく何十年も先になるだろう。
◆ただ、このような大記録を達成した背景となると、好業績、低PER、ドル高・円安、NYダウ平均の最高値更新、外国人買い等々があるものの、大記録に直接結びつくようなものは見当たらない。あるとすれば、衆院選に向けての「政策相場」だろう。「株価堅調」「何十年ぶり高値」を演出するために政府・日銀・証券界が「下げない相場」の演出に努め、外国人買いと売り方の買い戻しを誘ったのではないか。
◆そして、10月22日の衆院選挙は自民・与党の圧勝で終わった。それをマーケットは好感、23日の日経平均は239円高の2万1696円と上伸。25日には2万1921円まで高値を伸ばしたが、“衆院選までの株価堅調”を達成したことで「お役御免」の動きが出てもおかしくなく、それが25日で連騰が止まった(97円安の2万1707円)の背景ではないか、そういった憶測もできる。
◆チャート的には強い上昇相場となり、需給好転に伴い強気観測を抱く向きも大勢いることから、当面は強い地合いが続くだろう。ただ、サイコロジカルラインやRCI、RSIといったテクニカル指標は過熱を極めて調整に転じており、高値圏で乱高下することが想定される。
◆日本株の動向でカギを握るのは世界の相場を牽引するNYダウ(米国株)だが、テクニカル面ではいまNYダウも似たように高値警戒を強める状況にある。すぐに大きく調整に転ずるとは思えないが、先々の相場をイメージするにあたり「行き過ぎの反動」を意識しないわけにはいかない。当面は、乱高下しながらダブルトップやトリプルトップといった高値圏のチャートパターンを形成し、本格的な調整はそのあとに訪れると見ているが、日足チャートの抵抗線や25日移動平均線など下値ポイントを注視していくことが必要だ。
◆26日に富士山の初雪化粧が報じられたが、山高ければ風雨も強まる。個別株は当面の乱高下に対し機敏に対応することが求められよう。
(10月26日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース