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【特集】回転すし四天王“関東秋の陣”、「6000億円市場」賭して激突 <株探トップ特集>

くら <日足> 「株探」多機能チャートより

―出店攻勢かけるスシロー・くら、ゼンショーも傘下のはま寿司が好調―

 回転すしチェーンの出店攻勢が加速している。回転すし業界は、まさに群雄割拠の戦国時代の様相で、本丸ともいえる関東圏での展開を強め天下取りを目指す。市場規模の拡大傾向が続くなか、サイドメニューの拡充など新たなサービスと戦略で、勝ち残りを目指す回転すし業界を追った。

●“四天王”中核に天下取りへ

 外食チェーンが一様にして苦戦を強いられるなか、回転すしチェーンはファミリー層をはじめとする多様な需要を取り込み好調だ。くらコーポレーション <2695> 、スシローグローバルホールディングス <3563> 、ゼンショーホールディングス <7550> (傘下企業による「はま寿司」)、カッパ・クリエイト <7421> は“四天王”と呼ばれ、これらを中心とした回転すし戦国時代において接戦を繰り広げてきた。

 調査会社の富士経済のリポートによると、回転すしの市場規模は2010年には約4400億円だったものが18年には約6400億円になるとしており、拡大傾向の継続を予測している。富士経済では「16年は上位チェーンが店舗数を増加させたことから、市場は前年比4.8%増の6055億円となった。17年(市場規模6250億円予想)も上位チェーンが引き続き店舗数を増やしており、収益性の高い都心部への出店を進める動きがみられるほか、各チェーンでフェアメニューの強化も実施されていることから市場はさらなる拡大が見込まれる」と分析する。

●東へ進軍するスシロー、くら

 今年の株式市場における大きな話題のひとつが、“スシロー”の上場だった。かつて東証2部に上場していたが、MBOにより09年に非上場となり、今年3月30日には東証1部へ“再上場”を果たした。そのスシローGHDは、今後3年間で約100店舗を出店する方針だが、東日本に注力するという。同社では、「もともと本社が大阪にあるため西日本が中心の店舗展開だったが、関東を含む東日本には、まだ出店余地があるとみている。また、スシローは郊外店がメーンだが、昨年初めて山手線の内側に出店した。池袋と五反田の2店舗で、いままでの郊外型の店舗に加えて“都心型”の店舗出店にも取り組んでいく」(広報担当)。韓国に8店舗を展開している同社だが、今後の海外展開については「アジア圏への出店について検討している状況だ」(同)という。

 一方、同じく大阪に本社を置き「くら寿司」を展開するくらコーポも黙ってはいない。今後3年で約60店の出店予定だが、関東に比重をおいた攻勢をかける方針だ。「当社は関西に店舗がやや多く、今後(店舗数がそもそも少ない)関東一円に出店を強化する方針だ。ニーズは、かなりあると思っている」(IR担当)という。同社は、米国では足もと14店舗、台湾でも8店舗を運営しており、海外展開も加速している。「今後は、米国においては、中南部に注力していきたい」(同)と語る。

 同社は、9月7日の取引終了後に第3四半期累計を発表。8月30日には6130円まで買われ年初来高値を更新していたものの、2ケタ営業減益を嫌気し株価は急落した。現在は5000円近辺でもみ合う状況だ。出店効果や、夏季限定の中華シリーズの投入、フェアやキャンペーンの実施などが奏功し売上高は増収となったが、店舗改装などの積極投資を継続しているほか、人件費増などが利益を圧迫した格好だ。ただ、17年10月期通期業績予想は、売上高1190億500万円(前期比4.7%増)、営業利益65億5000万円(同0.3%増)の従来見通しを据え置いている。

●カッパ・クリエは注目のポイント

 ゼンショーHDの「はま寿司」も好調だ。同社は牛丼の「すき家」を中核とする外食大手だが、「はま寿司」をはじめとするファストフードカテゴリーの第1四半期連結累計の売上高は、前年同期比6.2%増の315億5900万円となった。株価は、8月14日に上場来高値2183円をつけたあと調整を続け2000円近辺水準にある。

 四天王の一角にあるものの、やや苦戦しているカッパ・クリエだが、ここにきてさまざまなアイデアで巻き返しを図ろうとしている。同社が運営する「かっぱ寿司」では、きょう25日から(10月6日まで・平日のみ)はウエブ予約限定で、午後2時から5時まで60分食べ放題(男性1580円、女性1380円など・税別)もスタートしている。株価は、ここ1200~1300円近辺のボックス相場を形成、現在は1300円近辺でもみ合うが、この水準を抜けるかどうかがポイント。

●目を配っておきたいアトム

 その他では、名古屋圏を地盤とするアトム <7412> [東証2]は面白い存在。居酒屋をはじめステーキ店などレストランを展開するが、加えて「にぎりの徳兵衛」など回転すし業態にも注力している。株価はジリ高が続き800円台半ばで推移している。また忘れてはならないのが、回転すしのパイオニア「平禄寿司」などを展開するジー・テイスト <2694> [JQ]だろう。業績の低迷が響き株価は80円水準と超低位にあるが、経営合理化も進展し復活への足掛かりが出てきており目を配っておきたいところだ。

 市場規模が拡大する回転すしチェーンだが、一方「(上位以外の)その他チェーンは厳しい状況にある」とも前述の富士経済のリポートでは指摘している。また、各社共通の悩みは、「人手不足による人件費の高騰」(業界関係者)だという。そのような状況下、関西から関東に主戦場を広げる大手チェーンもあり、回転すし戦国時代は激しさを増している。今後の展開から、目が離せない状況が続きそうだ。

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