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【特集】雨宮京子氏【上昇相場は始まった? 波に乗る株・テーマは】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー)

―アベノミクス高値更新までと更新後、そのシナリオを聞く―

 10月下期相場入り目前に東京株式市場は引き続き強い動きをみせている。9月第2週以降、マーケットは大方の予想を覆し一気にリスクオン相場に傾いた。急速に上値を追った反動で足もとは利益確定の動きも出ているが、株価が緩む場面では押し目買い意欲が旺盛で容易に崩れる気配はない。日経平均株価2万円大台は盤石なのか。期待と不安が入り交じる秋相場の見通しについて、全体相場の先読みや銘柄観に定評のある市場関係者2人に話を聞いた。

●「上昇相場の色彩強まる、アベノミクス高値超えへ」

雨宮京子氏(SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー)

 東京株式市場は戻り足に勢いがついている。日経平均は短期間にかなり水準を切り上げたように見えるが、騰落レシオは25日時点で日経225ベースでは107%台とまだ過熱感はそれほどでもなく、押し目狙いの買いが厚い。

 安倍首相がこのタイミングで衆院の解散・総選挙を決めたことはポジティブサプライズだ。大義名分が伴わないとする声もあるが、選挙は政治にプラスの変化を与えるものとして外国人投資家は一定の評価を与えるであろうし、株式市場は今回の選挙で自民党が大勝はしないという部分まで織り込んでいる。過度に期待が先走りしていない点も好都合だ。既に9月第2週に外国人投資家は記録的な先物買い(ショートカバー)で、相場のリスクオン転換を先導した形だが、9月権利落ち後は企業実態を評価した現物買いを着実に入れてくると考えている。

 憲法改正は安倍首相の悲願でもあり自民党の政権公約骨子のひとつにも挙げられているが、それ以上に今回はアベノミクスの推進や、教育無償化などの「人づくり革命」に力を注ぐ姿勢をみせ、憲法改正よりも経済対策優先というニュアンスが相場に心地よく響く。一部メディアを通じて年内に2兆円規模の経済対策を打ち出すとの観測が浮上するなか、日経平均は一段と強調展開を続ける可能性が高いとみている。企業業績は総じて好調で足もと円高懸念が後退すれば、日本株は必然的に割安感が浮き彫りとなってくる。

 北朝鮮を巡る地政学リスクには依然として注意が必要ながら、経済ファンダメンタルズを考慮した場合、ここまでのアベノミクス相場の高値である2015年6月の2万868円は、年内早い段階でクリアしてくる可能性が高いと考えている。

 個別銘柄では、教育無償化の政策テーマを受けて全国小学校の85%に教育ソフトウエア「ジャストスマイル」を提供するジャストシステム <4686> に注目。また、独立系ソフト開発会社で奨学金管理システムを手掛けるアイティフォー <4743> も上値余地が大きい。

 また、仮想デスクトップのソリューションを手掛けるアセンテック <3565> [東証M]もマークしたい。「働き方改革」を追い風にテレワークを導入する企業が増勢であり、同社のビジネスチャンスにつながっていく。底値買い対象としては試作用プリント基板の製造受託、通販を展開するピーバンドットコム <3559> [東証M]を挙げたい。PER22倍台とそれほど割高感はなく、一方でROE41%と高水準。クラウドソーシング事業にも期待がかかる。

 このほか、ディスプレーの企画や設計・施工を手掛ける丹青社 <9743> も注目だ。東京五輪開催を2020年に控え追い風が強い。また、新インバウンド関連としてホテルや民泊向けなどの需要を取り込み中期成長力は高い。25日移動平均線との上方カイ離修正局面を狙いたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
 SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興證券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスTVキャスターなどを経て現在に至る。主な著者本『株の教則本』『税金ゼロ!ローリスクで儲けるNISA株入門』など。2014年Yahoo株価予想最高11連勝、勝率94%達成。

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