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【市況】国内株式市場見通し:北朝鮮やハリケーン影響警戒でリバランス中心の商い

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は下落。北朝鮮は3日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水素爆弾の実験に「完全に成功した」と発表。核実験は昨年9月9日以来、約1年ぶりで通算6回目。これが嫌気される格好から、週初から不安定な相場展開となった。その後も、連休明け5日の米国市場ではNYダウが234ドル安と、北朝鮮の地政学リスクやトランプ政権による政策運営リスクへの警戒感も嫌気されるなか、日本株市場もポジション圧縮の流れに向かわせた。

その中で、これまで活況が続いていた中小型株にも利益確定売りが強まる格好となり、マザーズ指数は大きく下落し、一時4月下旬以来の1000ptを割り込む場面をみせるなど、一気に個人の需給懸念が警戒される状況となった。週後半には下げ渋る動きもみられたが、北朝鮮が9月9日の建国記念日や10月10日の朝鮮労働党創建記念日に合わせ「ICBMを通常角度で発射する可能性がある」と伝えられるなか、押し目拾いの動きも限られた。週末は為替市場でドル円が1ドル107円台と円高に振れると、日経平均はSQ値(19278.13円)を下回り、終値ベースでは4月末以来の19300円を下回った。

引き続き北朝鮮情勢を見極めることになろう。9日にICBMの発射が行われなければ、一先ず安心感につながることになりそうだが、太陽表面での強い爆発(太陽フレア)によって電子機器が影響を受ける可能性があるなかで、発射延期は想定内といったところである。一方で9日の北朝鮮・労働新聞(電子版)では、ICBMなど「最先端武器」をさらに製造していかなければならないと主張。米国は北朝鮮への新たな制裁のため11日に国連安全保障理事会で決議案の採決を求めている。北朝鮮への石油禁輸は実現とはならないだろうが、新たな制裁内容次第ではミサイル発射の可能性もあるとみられ、懸念要因が払拭されることはさなそうだ。

また、足元で円高傾向が強まってきていることも手掛けづらさにつながりそうである。米国の利上げ観測が後退し、米長期金利が低下するなか、日米金利差の縮小を見込んだ円買い・ドル売りも入りやすい。さらに米国では先日の大型ハリケーン「ハービー」に続いて、観測史上最強に発達したハリケーン「イルマ」がフロリダ州を直撃するとみられており、被害拡大が警戒されることもドルが売られやすい地合いになろう。そのため、積極的な売買は引き続き手控えられる可能性が高く、インデックスに絡んだリバランス中心の商いになりそうだ。そのため、日経平均は足元のもち合いレンジ水準での推移が続くことになろう。

また、足元で急落による需給悪化が警戒される中小型株であるが、強制ロスカットに伴う需給整理は進捗し、一先ず一巡したとみられる。イレギュラー的に下落した銘柄等への自律反発を狙った短期的な資金は入りやすいだろう。また、イベントとしてはアップルの新製品発表会があるため、電子部品等のアップル関連のほか、AR/VR、顔承認、ワイヤレス給電、有機ELといった分野への波及が期待される。また、需給状況が良好な次世代電池関連にも引き続き資金が流入しやすいだろう。さらに、翌週に控えているゲームショウへの思惑から、急落が目立ったゲーム株への見直しも意識されてきそうだ。

経済イベントでは、11日に7月の機械受注、14日に8月の中国の工業生産と小売売上高、固定資産投資が発表される。14日に8月の米国の消費者物価、15日に米国の8月小売売上高、9月ニューヨーク連銀製造業景況指数が発表される。

《FA》

 提供:フィスコ

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