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【市況】新興市場見通し:値動きや需給状況で選別色強まる、ウォンテッドリーなど2社IPO

マザーズ指数 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の新興市場は、北朝鮮情勢を巡る地政学リスクの高まりを背景に不安定な展開となった。9月3日に北朝鮮が核実験を実施したことを受けて、週明けは幅広い銘柄にリスク回避の売りが広がった。5日にはマザーズ指数が今年最大の下げ幅を記録した。週半ばになると売りが一巡し、その後買い戻しも入ったが、9日に北朝鮮の建国記念日が控えているとあって積極的な買いは限定的となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.1%であったのに対して、マザーズ指数は-8.5%、日経ジャスダック平均は-2.3%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で6.8%安、サイバーダイン<7779>が同3.4%安、そーせいグループ<4565>が同10.4%安といずれも軟調だった。アカツキ<3932>も同8.9%安となったが、東証1部への市場変更を発表し、週末にかけて買われる場面があった。また、サイバーステップ<3810>、エンバイオ・HD<6092>、メタップス<6172>、エディア<3935>は売りがかさみ、同2割強の大幅下落となった。反面、マザーズ売買代金上位では総医研HD<2385>が逆行高を見せた。化粧品事業や健康補助食品事業への期待が株価の支えとなったようだ。また、ビーロット<3452>やアクアライン<6173>などが買われたが、マザーズにおいて週間でプラスを確保したのは8銘柄にとどまった。ジャスダック主力もセリア<2782>が同2.4%安となるなど全般軟調だったが、日本マクドナルドHD<2702>が同1.8%高、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同0.7%高と比較的しっかりした値動きだった。日本マクドナルドHDは8月も既存店売上高が好調に推移した。売買代金上位では、防衛関連の細谷火工<4274>が週前半に大きく買われた。また、フライングガーデン<3317>や清和中央HD<7531>が週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。ただ、ジャスダックでもラクオリア創薬<4579>やデジタルアドベンチャー<4772>など大きく売られる銘柄が目立った。

今週の新興市場は、中小型株に短期の値幅取り狙いの物色が向かう場面もあるだろうが、本格的な戻りは期待しにくい。北朝鮮を巡っては米国などが国連安全保障理事会で9月11日の追加制裁案採決を目指しており、同国情勢への警戒感は続くだろう。トレンドが急速に悪化した銘柄が多く、値動きや需給状況による選別色が強まることも想定される。

今週は9月12日にバルニバービ<3418>、アセンテック<3565>、はてな<3930>、13日にエニグモ<3665>などが決算発表を予定している。アセンテックは従前に上期業績の上方修正を発表済み。米エヌビディア社とのパートナー契約締結も材料視され、人気化する場面があった。はてなも業績は堅調に推移している。また、12日の米アップルによるイベントではスマートフォン「iPhone」の新型発表が見込まれており、関連銘柄に注目したい。

IPO関連では、9月13日にエスユーエス<6554>が、14日にウォンテッドリー<3991>がいずれもマザーズへ新規上場する。ウォンテッドリーはビジネスSNSを運営するベンチャー企業として注目されている。また、エスユーエスは人材サービス関連や人工知能(AI)関連のテーマ性を有しており、両社とも投資家の期待は高いようだ。公開規模が小さいこともあって初値を飛ばしそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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