【市況】米国株式市場見通し:ハリケーン被害や北朝鮮情勢を注視
テキサス州に被害をもたらしたハリケーン「ハービー」により、債務上限引き上げ・政府運営資金を抱き合わせたハリケーン被害救済法案が上下院で可決されるなど政治リスクが一部解消した。債務上限及び歳出予算は12月まで延期される予定で、議会は税制改革法案に集中でき、同法案の年内成立への期待が高まるだろう。しかし、観測史上最大と言われるハリケーン「イルマ」や北朝鮮情勢への警戒感が投資家のリスク選好姿勢を阻んでおり、株式相場は不安定な状態が続きそうだ。
今週は、現地時間の12日より開催されるアップルの新製品発表会や、これを受けた株価動向にも注目が集まる。同社株価は8月1日に発表した四半期決算でiPhone販売台数が予想を上回り、株価は上昇基調にある。例年、4-6月期は新型iPhoneの発表前の買い控えによる影響を受けるが、今年はアジア、ラテンアメリカ、中東の地域での販売が前年同期比で大きく成長しており、新型iPhoneの発売でさらなる好業績がもたらされるとの見方が広がった。しかし、新型iPhoneの製造遅延が報じられており、各モデルの発売日と予約・生産状況を注視したい。
発表会では、iPhone 7s及び7s Plusに加えて、高価格帯(1000ドル前後)のiPhone 8を発表するとの見方が広がっている。また、新型Apple watchやテレビ用セットトップボックス(STB)Apple TVの新製品発表も噂されており、Apple TVは4K解像度での動画再生が可能になるとの見方が強い。10-12月のホリデーシーズンに向けてiPhoneユーザーの買替需要を刺激するような機能を備えているかが焦点だ。
経済指標では、8月生産者物価指数(13日)、8月消費者物価指数(14日)、9月NY連銀製造業景気指数(15日)、8月小売売上高(15日)などの発表が予定されている。7月の小売売上高は予想を上振れ、消費意欲の高まりが示されたが、アマゾンや一部の小売店を除いて不振が目立ち、実店舗小売店の事業環境に改善は見られていない。特にアマゾンが食料品店のホールフーズの買収を完了したことから、食料品小売りの分野では一段と競争が激化し、疲弊する小売店が増えることになりそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ