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【市況】有賀泰夫の有望株リサーチ

三菱食品 <日足> 「株探」多機能チャートより

●三菱食品 <7451>
―マイナス効果薄れ、業績好転へ―

 今の相場は、儲けるのに苦労して四苦八苦の人と、軽やかに売り買いして着実に儲けを蓄積している人と、二極分化しているように感じます。特に苦労している人は、有名企業中心の大型株派です。個人投資家ではありませんが、大手の機関投資家の多くは四苦八苦でしょう。

 一方、個人でも動きについて行くタイプも実は結構苦労しているかもしれません。動き始めると、短期で急騰はするのですが、すぐ方向性が変わってしまって、売り損ねると大変です。

 結局、今の相場はファンダメンタル優位で、一気には上がらないのですが、飛びついた人を振り落として、着実に上値を切り上げている銘柄が増えています。

 その典型的な銘柄として昨年何回も当コラムで取り上げたニトリホールディングス <9843> があります。2017年2月期決算で予約為替が大幅な円安にもかかわらず増益を維持し、予約為替が円高に転じている今期見通しが大幅増益だったことから、前期決算を発表した3月末から急騰しました。

 しかし、急騰しすぎていたため、第1四半期決算前に天井を付け、出てきた第1四半期決算を契機に急落を演じました。別に悪い内容の決算ではなかったのですが、ちょっと発表内容がわかりにくかったために、株価が下がると、たまらずに売り物が殺到しました。

 そこで、7月18日付の当コラムで、なぜ悪く見えたかを解説し、強気の買いを指示しました。

 案の定、1ヵ月ちょっとで再び年初来高値を更新しています。その辺りの事情を知らずにこういった株に手を出すと、あっという間に火傷をすることになります。

 このような株は、特に材料で動くわけでもなく、丹念に業績内容を吟味することでしか儲けることのできない株ということになります。

 今回紹介するのは加工食品卸売業の三菱食品 <7451> です。加工食品卸売業の現状の環境はいいのですが、同社の今期営業利益は物流センター投資を行うため小幅増益予想にとどまっています。しかも、第1四半期決算は15%ほどの減益でした。とても買えないというのが、内情を知らない人の見方でしょう。しかし、これは第1四半期に3ヵ所の物流センターが稼働したためで、第2四半期以降は徐々にマイナス効果が薄れて、増益に転換する可能性が高くなっています。株価もその辺りの事情を反映して、大幅減益決算を発表後はじり高になり始めています。

(8月31日 記)

有賀泰夫(ありがやすお)
H&Lリサーチ代表。新日本証券(現みずほ証券)に入社後、アナリストとしてクレディ・リヨネ証券に転職。現三菱UFJモルガンスタンレー証券を経て、09年4月に独立して、H&Lリサーチを設立。ファンド向けアドバイスなどを行う。日本証券アナリスト協会検定会員。

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