【市況】米国株式市場見通し:政治動向を注視
北朝鮮情勢の緊張が緩和した一方で、バージニア州で発生した白人至上主義者らと反対派による衝突を巡るトランプ大統領の発言を受け、大統領助言組織からメンバーである主要企業トップの脱退が相次ぎ同組織の解散に至るなど、政権運営に対する不透明感が相場の重しとなるだろう。トランプ政権は当初から極右思想で批判を集めていたバノン主席戦略官の更迭で幕引きを図りたい考えだが、株式相場の上昇基調は、景気の底堅さに加えて、減税や規制緩和等の政策期待が支えとなっていたこともあり、政治リスクの高まりで投資家心理が悪化する可能性がある。今後の政治動向を注視したい。
先週は、FOMC議事録で大半の当局者が次回会合でのバランスシート縮小開始時期の明示を支持した一方で、インフレ率が予想よりも長く停滞するとの認識を示し、利上げ時期は不透明なままだ。今週は24日から26日にかけて、ジャクソンホールで金融・経済シンポジウムが開催され、25日にイエレンFRB議長が講演を行う予定だ。同氏の発言から年内の追加利上げ時期について何らかの示唆が得られるかに注目が集まる。
21日には99年ぶりにアメリカ大陸を横断する形で皆既日食が観測される為、観測地への旅行需要拡大が期待される一方で、交通渋滞やビジネス活動や製造業の一時的中断による経済損失も予想されている。
経済指標では、6月FHFA住宅価格指数(22日)、8月マークイット米国製造業PMI(23日)、7月新築住宅販売(23日)、7月中古住宅販売件数(24日)、7月耐久財受注(25日)などの発表が予定されている。先週に発表された住宅関連指標が低調であったことから、今週の住宅関連指標にも注意が必要だ。
個別企業では、クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(22日)、ホームセンターのロウズ(23日)、宝飾品のティファニー(24日)、事務用品小売のステープルズ(24日)、ディスカウントストアのダラー・ツリー(24日)などの決算発表が予定されている。ロウズは、先週のホーム・デポの決算が好調だったことから、決算への懸念は少ないが、好調な住宅市場が軟化する兆しが見えつつあるほか、シアーズ・ホールディングスが、同社の家電ブランド「ケンモア」の全製品をアマゾンを介して販売する方針を発表しており、業績見通しに注目が集まりそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ