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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「先安懸念を孕むチャート、買いは“好転”待ち」

株式評論家 富田隆弥

◆「米朝の緊張」によりNYダウ平均は2万1842ドル(11日)、ナスダック総合は6214ポイント(10日)まで下落。為替(ドル円)はリスクオフとして一時108円台を付け、そして14日の日経平均株価は大きく窓を空けて始まり、一時243円安の1万9486円まで下げ、引けは192円安の1万9537円と続落した。日経平均は9日の257円安(1万9738円)でもみ合いを下放れていたこともあり、休み明けの14日は投げ売りを誘う格好になった。

◆ただ、休み明けは人気が片寄りやすく、大きな窓を空けて十字足(放れコマ)を描いた14日の日足は当面のポイントとなり、翌日は一時287円高の1万9824円まで上げ、216円高の1万9753円と反発して終えた。米朝の緊張が緩和したことから、為替は110円90銭まで戻し、NYダウも2万2000ドルを回復。ナスダックは75日移動平均線(10日6219ポイント)まで下げたものの、そこから6350ポイントへ切り返している。

◆「下げて、戻す」というこの1週間の流れには、業績の好調もあるが、カネ余りを背景に押し目買い意欲が衰えていないことを示すものだろう。今年のNYダウとナスダックは調整を入れてもすぐ切り返して高値更新というパターンを繰り返しており、今回も同じような展開になる可能性はある。

◆だが、日経平均のチャートはもみ合いを下放れて「陰転」を臭わしている。上値を期待するのは「好転」を確認してからのこと。好転には少なくとも割り込んだ25日平均線や75日平均線(1万9900円台)を上抜く必要があり、つまり2万円回復が必要だろう。17日現在の1万9700円台は「崩れたあとのアヤ戻り」であり、先安懸念をまだ孕んでいると言える。

◆NYダウとナスダックのチャートは25日平均線や75日平均線の上にあり、上昇基調の中のスピード調整という状況だが、これまで高値警戒を無視して「イイとこ取り」で上げてきた米国株だ。トランプリスク、地政学リスク、米国家計負債リスク、中国リスク…など、無視できないリスクが表に出てきてもおかしくなく、需給相場がこの先さらに続くとも言い難い。トランプ相場が始まり9ヵ月、リーマンショックからは8年半。「山高ければ…」のリスクも頭に入れておく必要があるだろう。

◆材料はともあれ、日経平均のチャートに従って対応していきたい。2万円を回復するなら「買い」を再開させるが、それがなければ「休むも相場」、夏休みを延長させる。相場の最大の材料は「需給」だが、すでに高値づかみでシコリを抱えた銘柄も散見される。相場も個別株もチャートが好転しなければ「売り方」に分のあることを承知しておくべきだろう。

(8月17日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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