【市況】新興市場見通し:外部環境に懸念多く押し目拾い中心に、ゲーム株などに関心も
マザーズ指数 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の新興市場では、マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに上昇した。日経平均は週半ばに手掛かり材料の乏しさからこう着感の強い展開が続き、物色の矛先が中小型株に向かった。従前の人気株や直近IPO銘柄の一角では、このところの株価下落を受けてリバウンド期待が高まったようだ。しかし、25日線などの節目で戻り一服となる銘柄が多く、週末にかけて相場全体の地合いが悪化したこともあり利益確定売り優勢となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.3%であったのに対して、マザーズ指数は+0.6%、日経ジャスダック平均は+0.8%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で1.4%高となったものの、サイバーダイン<7779>が同1.5%安、そーせいグループ<4565>が同8.0%安と軟調だった。そーせいグループはおよそ1年半ぶりに節目の1万円を割り込んだ。売買代金上位では、信用規制が解除されたインフォテリア<3853>のほか、アカツキ<3932>、サイバーステップ<3810>、アクセルマーク<3624>といったゲーム株が買われた。また、好業績が評価された中村超硬<6166>やエンバイオ・HD<6092>が週間のマザーズ上昇率上位となった。反面、直近IPO銘柄のトランザス<6696>は換金売りがかさむ場面があり、決算がマイナス視されたリネットジャパングループ<3556>やマイネット<3928>、監理銘柄(確認中)に指定されたゼネラル・オイスター<3224>が下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力はハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同1.1%安、エン・ジャパン<4849>が同3.5%安と軟調だったものの、日本マクドナルドHD<2702>は同1.9%高となった。売買代金上位ではゲーム株のアエリア<3758>や電池関連の田中化学研究所<4080>などが買われ、量子コンピューター関連として人気化したエヌエフ回路設計ブロック<6864>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、アズジェント<4288>は決算発表を受けて大きく売られた。
今週の新興市場では、米政権の混乱、北朝鮮問題、相次ぐテロ事件など外部環境に懸念材料が多く、相場全体の地合い睨みで神経質な展開となりそうだ。市場が比較的落ち着きを見せている場面では中小型株に物色が向かいやすいだろうが、押し目拾いの動きが中心となり、積極的に上値を追う機運は高まりづらいだろう。
決算発表が一巡したことで、テーマ株への関心が再び高まっている。足元では需要拡大が期待されるEV(電気自動車)・リチウムイオン電池関連のほか、政策の追い風期待が高まった量子コンピューター関連、細谷火工<4274>などの防衛関連に物色が向かっている。また、ゲーム株では9月に開催される「東京ゲームショウ2017」を見据えた動きが見られ、CRI・ミドルウェア<3698>やシリコンスタジオ<3907>といった出展予定企業の動向も注視したい。
IPO関連では、UUUM<3990>の公開価格が8月21日に発表される。18日までブックビルディング期間だったが、YouTuberのマネジメントという時流に乗った事業内容で投資家の期待は高く、人気を集めたようだ。なお、先週はニーズウェル<3992>(9月20日、ジャスダック)、PKSHA Technology<3993>(9月22日、マザーズ)の新規上場が発表されている。9月のIPO件数は計4社となった。
《FA》
提供:フィスコ