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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「8月の陰転、カギ握る米国市場」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は9日に一時335円安の1万9660円と急落。大引けも257円安の1万9738円で、チャートはもみ合いからの下放れを鮮明にした。下げの要因は北朝鮮による地政学リスク台頭と、11日ぶりに反落したNYダウ平均などだが、理由はともあれ相場は「放れに従う」のがセオリー。まして、2万円前後のもみ合いを2ヵ月半続けており、「もみ合いが長ければ放れも大きくなる」のは経験則の如く。

◆NYダウは7日まで10連騰を演じ、8日も2万2179ドルと最高値を伸ばしたが、さすがに引けは33ドル安の2万2085ドルと反落した。過熱警戒が漂う中を連日上げてきただけに、8日の上ヒゲ高値「2万2179ドル」が当面のポイントになる可能性がある。

◆日本では「森を見ずに木で勝負」との雰囲気で個別株物色が盛んだった。好業績銘柄への買いも目立っていたが、9日の全面安で個別株物色の雲行きが怪しくなってきた。

◆同じように世界の運用マネーが集中している米国IT関連の中核「FAANG」(フェイスブック、アマゾンドットコム、アップル、ネットフリックス、グーグル)の株価も一時の勢いが見られない。警戒感は漂うものの、カネ余りを背景とする上昇相場に多くの運用者が「乗らない訳にはいかず、降りる訳にもいかず」という状況できているが、株価はアップルを除く4銘柄が7月下旬に頭を打ち、その後は調整気味だ。

◆この「FAANG」へのマネー集中は「人気片寄れば…」の際たるもので、ここがもし腰折れすると世界マーケットに影響を及ぼすことは避けられない。また、日本では個人投資家の高値づかみが心配されるが、相場の最大の要因が「需給」であるだけに、ここでの急落は侮ることできない。

◆加えて、夏場には転機を迎えることが少なくない。調整局面であれば「底入れ」をイメージできるが、今回のような高値圏であれば「陰転」につながりかねない。2年前の2015年(8月)やサブプライムショックの2007年(7月)が夏場に陰転したときだが、その時といまは状況が似ているようにも思われる。

◆カギを握るのは米国市場だ。カネ余りを背景に切り返すことも想定されるが、強気になるには8日の高値2万2179ドル突破が条件で、日経平均の強気信号は少なくとも2万円回復だろう。甲子園、満月(8日)、お盆という時期の「下放れ」でもあり、ここは少し慎重に対応しておこう。

(8月9日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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