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【特集】進む医療ICT化、政府本腰で“恩恵銘柄”に関心 <株探トップ特集>

GMO <日足> 「株探」多機能チャートより

―AI・ブロックチェーン利用も加速、テーマ銘柄シフトに備える―

 現在、株式市場では第1四半期決算の発表がピークを迎え、内容に一喜一憂する場面も見られるが、発表一巡後はテーマ性のある銘柄へ物色がシフトする可能性が高い。こうしたなか、関心が高まっているのが、医療のICT(情報通信技術)化だ。現在、政府主導の下でICTを活用した「次世代型保健医療システム」の構築が進められており、企業の取り組みも徐々に活発化しつつある。メディアなどで紹介されることも増えており、話題性の面からも注目したい。

●「次世代型保健医療システム」を構築へ

 これまでも医療分野ではICTの活用が進められてきたが、その多くは事務処理の合理化などが目的で、患者にとっての医療サービス向上には不十分だというのが現状だった。

 そこで、「次世代型保健医療システム」では、主な取り組みとして「最新のエビデンスや診療データを人工知能(AI)を用いてビッグデータ分析し、現場の最適な診療を支援」や「患者・国民を中心に保健医療情報をどこでも活用できるオープンな情報基盤の構築」、さらに「構築されたデータベースから産官学の多様なニーズに応じ保健医療データを目的別に収集・加工・提供」などを計画。2020年には段階的な運用を目指すとしている。

●海外企業も日本の医療ICTに関心

 こうした、政府主導による医療分野のICT化加速に対して、海外企業からの関心も高まっている。米GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディア(カリフォルニア州)は6月、日本で医療機器向け事業に乗り出すことを明らかにした。病院で使うコンピューター断層撮影装置(CT)などに自社の半導体を組み込み、AIでがんの可能性が高い部分を探し出し、医師の診断を支援するようだ。

 また、米ベンチャーのエンリティック社(サンフランシスコ)は丸紅 <8002> と提携して、AIの画像認識を使ってがんを発見しやすくする医療診断システムを販売するとしている。

 これに対する国内勢では、カシオ計算機 <6952> が信州大学と組んで、AIにより皮膚疾患の診断を支える技術を開発。オプティム <3694> も佐賀大学と共同でAIによる眼病の診断支援に乗り出した。エムスリー <2413> は今期から、MRI(磁気共鳴画像装置)などの撮影データから病気の疑いを自動判定する次世代医療機器の開発支援を始動させている。富士フイルムホールディングス <4901> とオリンパス <7733> も共同で、AIを用いて内視鏡検査で胃がんなど病気の疑いを自動判別する技術を20年にも実用化する見通しと伝わっている。

 さらに、各社の動きから、医療用画像の管理事業が重要性が増すとみて、コニカミノルタ <4902> は、パナソニックヘルスケアから医療用画像管理システム事業を手掛ける子会社を買収しており、新な動きとして注目されている。

●医療情報をクラウドで一元管理へ

 一方、総務省では、全国の診療所や病院が持つ医療情報などをクラウドで一元管理するシステムを20年をメドに構築する。これは、マイナンバーカードを活用し、遠く離れた病院間で個人の電子カルテ などをやりとりするほか、患者が加入している保険の確認などもできるようにするというもので、実用化すれば患者の利便性は大幅に向上することになる。ただ、個人の医療情報はプライバシーの観点から情報を共有しにくい分野でもあり、セキュリティーの確保など実用化に向けてクリアすべき課題は多い。

 これをクリアするために注目されているのが、フィンテック分野などで活用が進むブロックチェーン技術だ。もともとはビットコインのコア技術として登場した分散型のデータ管理技術だが、「データの改ざんが難しい」「システムがダウンしにくい」といった特徴から、他分野への活用が検討されており、電子カルテの改ざん防止などもその一つだ。

 GMOインターネット <9449> では、「ブロックチェーン」を利用したサービスのソースコードの公開(オープンソース)の第1弾として、病院が患者の電子カルテを共有できるサービスのソースコードを公開し、商用利用できるようにした。これを利用し、患者が自分の電子カルテや薬の処方履歴などについて、医療機関に閲覧や書き込みの権限を与えることで、医師は必要な時に電子カルテを閲覧して、診療に役立てることができるようになるという。

●オンライン診療関連銘柄にも注目

 このほか、安倍晋三内閣が進める「新しい医療」への取り組みも医療のICT化を後押ししよう。18年度の診療報酬・介護報酬の同時改定で、電子機器で遠隔からデータを集めるオンライン診療や、介護を支援する見守りセンサーの導入などを優遇する方針だ。

 これを受けて、前述のオプティムと「ポケットドクター」を開発したMRT <6034> [東証M]や、オンライン医療相談を行う子会社を持つメドピア <6095> [東証M]に注目が集まりそう。また、Web会議コミュニケーションサービスを遠隔医療の分野へ応用したブイキューブ <3681> などへの恩恵も期待されている。

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