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【特集】桂畑誠治氏【都議選“自民大敗”、相場への影響は?】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―ポジティブかネガティブか、マーケットに生じた波紋の行方―

 東京株式市場は2万円大台近辺で売り買いが交錯する展開。下値では押し目買いが入るものの、相変わらず上値を買い進む動きにも乏しい。東京都議選は想定を大きく上回って「都民ファーストの会」が躍進を果たし、自民党が過去最低水準の議席数に落ち込んだことは安倍政権にとって打撃となった。この結果を含め、今後の相場展開に変化が生じるのかどうか、第一線で活躍する市場関係者に見通しを聞いた。

●「都議選の自民大敗も影響軽微で大勢トレンドは不変」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京都議選は自民党の大敗となったが、都政と国政は違うということに加えて、足もと安倍政権の求心力が弱まったからといって、東京株式市場は不安定な地合いを強いられるような展開とはならないだろう。東京五輪への悪い影響が出ることも考えにくく、小池都知事が政策を遂行しやすい環境が整うことを考えれば、「都民ファーストの会」が掲げた政策項目などを手掛かりに株式市場でもテーマ買いの動きにつながる。

 また、今回の都議選の結果が安倍政権の内閣改造を促す契機となることも確かであり、閣僚が政権の足を引っ張るような状況が解消されれば、アベノミクスにとっても株式市場にとっても一概にネガティブな流れといえない面もある。

 世界的に金融緩和政策の出口論が言及されるケースが増えているが、日本国内で見れば日銀の超低金利政策の方向性に変化はない。日銀はETF購入も続ける方針を表明しており、投資家サイドには買い安心感が漂う。為替動向については政治的な要因も絡むため、日本と欧米の金利差拡大思惑から一本調子の円安が期待できるほど単純な話ではないが、株式市場にとって居心地の良い環境は続きそうである。

 今、米国株市場はナスダック指数の変調にも表れているようにハイテク株の下げが目立ち、東京市場にも影響が及んでいる。場合によっては、日経平均株価は1万9500円程度まで下振れる可能性も否定はできない。しかし、これは構造的な売り圧力が発生しているわけではなく、調整の一環と捉えられる。好調な企業業績を背景にハイテク株が買い戻され、日経平均は早晩2015年6月の高値である2万868円を払拭して2万1000円台を目指す展開が予想される。セクターとしては半導体や電子部品、自動車など輸出セクターの押し目に着目したい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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