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【特集】田部井美彦氏【強さ確認東京市場、2万円通過点にどこまで】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―利益確定先行も押し目買い需要旺盛、上値追いはいつ始まる―

 週明け5日の東京株式市場は、円高含みに推移する為替を横目に利益確定売りが先行したものの、下値では押し目買い需要が旺盛で売り物を吸収、日経平均株価は朝安後に一時プラス圏に切り返す強さをみせた。前週末に待望の2万円大台を回復して意気上がる場面だが、テクニカル面などからは過熱感も意識され、大引けはわずかにマイナス圏で着地した。追撃の買いを入れるか、それともいったん様子見か、投資家にとっては悩ましい場面だ。経験豊富な市場関係者3人の視点を紹介する。

●「強含みで日経平均株価は2万円を固める展開」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 きょう5日の日経平均株価は、前週末比6円46銭安の2万170円82銭と小幅安にとどまったものの、東証1部の値下がり銘柄数は1000を超えており、日経225種平均株価偏重の物色が続いている。しかし、これは“全般底上げ相場”がまだ途上であることの表れでもある。今後は、相対的に出遅れ感の強い銀行、自動車、鉄鋼、海運といった業種へ循環物色の輪が広がる可能性がある。

 ただ、自動車などが本格的に買い進まれるためには、米長期金利の上昇などによる円安・ドル高進行が条件となってくる。今週は8日に、続発するテロ事件の影響が懸念される英国総選挙や、コミー前連邦捜査局(FBI)長官による議会証言が予定されており、手控え姿勢が強まりそうだ。さらに、来週は13~14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、米金利引き上げに伴う材料出尽くし感からの円高進行を懸念する見方もある。

 こうした市場環境を考慮すると、今後1カ月間の日経平均株価は、基本的には2万円台固めの推移で、想定レンジは1万9500~2万500円とみている。FOMC終了後にも、円相場などの市場環境が良好に保たれるようであれば、2万1000円を目指した展開となる可能性もある。

 個別銘柄では、国内外の機関投資家からの関心が高いキーエンス <6861> に注目したい。同社はセンサーの大手で、現在設備投資の中心となっている工場自動化用などのFAセンサーで圧倒的な強みをみせている。キャッシュリッチで、財務内容が良好な点も見逃せない。次いで出遅れ割安銘柄として挙げたいのが鹿島 <1812> だ。PERは11倍台と割安で、配当利回りは2.3%と高い。会社側の業績見通しは保守的で、上方修正の可能性がある。化学株の出遅れ銘柄として東亞合成 <4045> に注目。自己資本比率が76%台と高く、配当利回りは2%前後。6月中間期の決算発表で、業績上振れとなる可能性もありそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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