【市況】米国株式市場見通し:前FBI長官による証言内容を注視
先週の雇用統計は、13-14日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)前に公表される最も重要な経済統計であったが、失業率は約16年ぶりの低水準となった。就業者数の伸びは前月から鈍化したものの、好調な雇用状況が続いているとの見方から、6月の利上げはほぼ既定路線になったと言える。今週以降は、経済指標や政権動向が主な相場変動要因となるだろう。
8日にトランプ大統領が、ロシア外相に機密情報を漏洩したとの疑惑や、ロシア高官との接触が疑われたフリン前大統領補佐官に関する捜査終了をFBIに求めたことなどを巡り、コミー前FBI長官が上院情報委員会で証言を行う。大統領の娘婿がロシア政府との接触を疑われ、FBIの捜査対象となっているなか、証言内容次第では、政権運営への懸念が一段と広がるだろう。さらに同日は、英国で総選挙が実施される。世論調査では与党・保守党の勝利が予測されているが、仮に最大野党の労働党が勝利しても欧州連合(EU)離脱の方針は変わらず、株式相場への影響は限定的だろう。
5日から9日にかけてアップルの世界開発者会議 (WWDC) の開催が予定されている。アマゾンやグーグルに対抗して、音声認識型アシスタント機能「Siri」を搭載した家庭用デバイス開発が発表されるとの思惑が広がっている。また、5月にソフトウェアのマイクロソフトが発表した新型ノートPCに対抗して、Mac Bookシリーズの最新機種を発表するとの噂もある。イベントの発表内容次第では同社製品の需要を後押しする可能性があり、注目が集まるだろう。
経済指標では、5月ISM非製造業景況指数(5日)、4月製造業・耐久財受注(5日)、4月卸売在庫(9日)などの発表が控えている。また、8日には中国の5月貿易収支が発表される。5月中旬以降、一部経済指標の内容に陰りが見えていることもあり、長期金利に影響を与えるかどうか慎重に見極めたい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ