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【通貨】為替週間見通し:ドルは弱含みか、仏大統領選受けてドル売り優勢も

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル下げ渋り、米税制改革への期待持続

先週のドル・円は下げ渋る展開となった。朝鮮半島有事への警戒感などで17日に108円13銭までドル安・円高に振れたが、北朝鮮に対する米国主導の武力行使の可能性は低下しつつあるとの思惑が浮上し、リスク回避的なドル売り・円買いはやや縮小。18日のニューヨーク市場では米国の税制改革は大幅に遅れるとの見方が浮上したことや、英国のメイ首相が総選挙を6月に前倒しする計画を発表したことから、ドルは一時108円32銭まで反落した。

しかしながら、日本銀行の黒田日銀総裁は20日放映されたブルームバーグテレビのインタビューで「2%物価目標達成はかなり先の話、出口戦略を協議するのは時期尚早」との見方を伝えたことや、ムニューシン米財務長官が「税制改革案制定は近い」との見解を示したことを意識してドル買いが再び強まり、ドルは20日のニューヨーク市場で一時109円49銭まで買われた。

21日のニューヨーク市場では、23日に投票が行われるフランス大統領選の結果を見極めたいとの理由でドルは108円台後半まで売られたが、トランプ大統領が26日に税制改革案を公表すると述べたことから、ドルは109円33銭まで反発し、109円08銭でこの週の取引を終えた。

なお、市場関係者が注目していた「日米経済対話」は18日に行われた。貿易や投資のルールなど3つの分野で事務レベルの協議に入ることで双方は一致したが、為替について具体的な話はなかったことから、ドル売り材料にはならなかったようだ。取引レンジ:108円13銭-109円49銭。

■ドルは弱含みか、仏大統領選受けてドル売り優勢も

今週のドル・円は弱含みか。23日投開票のフランス大統領選(第1回投票)の結果が注目される。第一回投票で過半数票を獲得する候補者はいないと予想されており、市場関係者の多くは欧州連合(EU)離脱を掲げる国民戦線のルペン党首と中道系独立候補のマクロン前経済相による決選投票になると予想している。

現時点では5月7日の決選投票でマクロン候補が大統領に選出される可能性が高いと予想されており、ユーロ買い・米ドル売りが強まりそうだ。この影響でドルは対円でやや伸び悩む可能性がある。ただし、ユーロ買い・円売りの取引が増えた場合、ドルは対円で下げ渋る可能性がある。

予想に反してマクロン候補が決選投票に進めず、急進左派・左翼党のメランション元共同党首とルペン氏が決戦投票に進出する場合、両者はEU体制に懐疑的であるため、ユーロ売りが強まるとみられている。リスク回避の円買い・ユーロ売りが増える可能性があるため、ドル・円はやや下落する展開が見込まれる。

一方、トランプ米大統領はドル高や米追加利上げをけん制する見解を示していることは、引き続きドル売り材料となりそうだ。トランプ大統領は26日に税制改革案を公表すると述べており、税制改革案は米国経済の持続的な成長を後押しするとの観測が広がれば、ドル買いが優勢となる展開もあり得る。ただ、米連邦準備理事会(FRB)による2017年の利上げは3回から2回になるとの見方が浮上していること、地政学的リスクは除去されていないことから、リスク選好的なドル買いが大きく広がる状況ではないとみられる。

【日本銀行金融政策決定会合】(26-27日開催予定)
日本銀行は26、27日に金融政策決定会合を開催する。27日には黒田総裁が記者会見を行う。今回も現行の金融政策が維持される公算だが、2017年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しが下方修正される可能性は高いとみられている。

【米1-3月期国内総生産(GDP)速報値】(28日発表予定)
28日発表の1-3月期米GDP速報値は、景気判断の材料として注目される。市場予想は前期比年率+1.2%に鈍化する見通し。米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースへの影響が懸念されており、市場予想を下回った場合はドル売りが強まる可能性がある。

予想レンジ:107円00銭-111円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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