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【市況】S&P500 月例レポート ― 米国株、3月微調整も息の長い強気相場が続く(4) ―


※(3)から続く

●アップルが最高値、情報技術セクターが最高のパフォーマンス

 その他の注目すべきニュースとして、北朝鮮は諸外国からの圧力にもかかわらずミサイル開発を継続しており、4発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射した他、米国が強硬姿勢を強めたことでさらに別の1発を発射しましたが、これは発射から数秒後に爆発しました。米司法省はYahoo!へのサイバー攻撃と情報流出をめぐり、ロシアの諜報機関であるロシア連邦保安局(FSS)の局員2人を含む4人を起訴しました(1人はカナダで逮捕されましたが、残りの3人はロシアにいると司法省は見ています)。米国はTransCanadaに対し、キーストーンXLパイプラインの建設を承認しました。

 3月のS&P500指数は高値水準を維持しましたが、月間で上昇には至りませんでした。一時は大統領選以降で10.47%高を付けましたが、政治問題、利上げ、EU発のニュース(今後も多くの選挙が予定されています)、世界情勢の緊迫を受け、多くの投資家がもみ合い相場を予想し、利益確定に動いたことから(今後もありえます)、同指数は月間で0.04%下落しました。第1四半期では5.53%の上昇となり、2016年第1四半期の0.77%上昇と比べるとはるかに高いパフォーマンスとなりました。トランプ政権が引き続き国内の雇用と生産性に焦点を当てていることで、法人税改革で最も恩恵を受けるとみられる大型株に注目が集まりました。

 セクター別ではリターンにばらつきが見られ、3月の月間騰落率がプラスとなったのは11セクターのうちわずか3セクターにとどまりました(2月は9セクター)。パフォーマンスが最も低かったのは金融セクターで、経済に対する懸念が利益確定の動きにつながり、一時は6.48%下落しましたが、最終的には2.91%の下落で月を終えました。第1四半期では2.08%上昇、11月の大統領選以降では18.94%上昇となっています。金融セクターは比較的早い決算発表が予定されています(1社目は4月13日)。金利感応度が高いとみられている不動産セクターは3月に1.50%下落しましたが(2月は4.42%上昇)、第1四半期では2.73%上昇しました。同じく金利感応度の高い公益事業セクターも3月は0.52%下落し、第1四半期は5.43%上昇で終わりました。

 エネルギーセクターは、3月の大部分で原油価格が1バレル50ドルを割り込んだことが影響しましたが、エネルギーと石油の両サブセクターが月末までにやや持ち直し、月間では1.10%下落となりました。年初来では7.30%の下落で、S&P500指数内で最低のパフォーマンスとなっています。

 情報技術セクターはApple(AAPL、3月は4.87%高)が過去最高値を更新したこともあり、月間騰落率は2.51%上昇と最高のパフォーマンスでした。年初来騰落率でも最も高い12.16%の上昇となっています。

 一般消費財セクターも3月に1.90%上昇(年初来では8.09%上昇)と好調で、経済に対する消費者心理(特に予想所得)の改善を示すレポートも発表されています。ヘルスケアセクターは、新たな法案が提案された後に撤回され、結果的にオバマケアは当初のまま変わらず、0.56%下落して3月を終えました。年初来では7.89%上昇しています。

 銘柄の変動をみると、1月と2月は株価が上昇した銘柄数が下落した銘柄数を大きく上回りましたが、3月は反転し、値下がりした銘柄数が多くなりました。値上がりは239銘柄(平均上昇率は3.38%)と、2月の382銘柄(1月は327銘柄)から減少した一方、値下がりは265銘柄(平均下落率は3.39%)と、2月の123銘柄(1月は176銘柄)から増加しました。10%以上の上昇は2月の38銘柄から12銘柄(平均上昇率は14.90%)に減少した一方で、10%以上の下落も2月の17銘柄から6銘柄(平均下落率は12.21%)に減少しました。月間騰落率が25%以上となった銘柄はありませんでした(2月は1銘柄が25%以上上昇、25%以上の下落はなし)。

 第1四半期でみると、上昇銘柄数が下落銘柄数を大幅に上回りました。350銘柄が上昇し、そのうち141銘柄が10%以上、20銘柄が25%以上上昇しました。値下がりした銘柄は154銘柄で、32銘柄が10%以上、4銘柄が25%以上の下落となりました。

 オバマケア代替法案の撤回で週明けの大荒れが予想されていましたが、27日の市場が0.10%の下落にとどまるなど、3月は概ね薄商いとなり、出来高は前月比4%減で、過去1年間の平均月間出来高を6%下回りました(5年平均を2%下回る)。月中の高値と安値の差で見た変動率は2月の4.40%から3月は3.39%に低下し、過去1年平均の3.98%を下回り、過去5年平均の5.40%と比べると大幅に低い水準となりました。2016年11月8日の大統領選以降で見ると、415銘柄が上昇し、90銘柄が下落しました。


ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト


※本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。
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