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【市況】S&P500 月例レポート ― 米国株、3月微調整も息の長い強気相場が続く(2) ―


●英国を待ち受けるEU離脱交渉難航

 中央銀行関連では、欧州中央銀行(ECB)は3月9日の政策理事会で政策金利と金融政策を据え置き、「長期にわたり(金利が)現在の水準かそれ以下にとどまる」とするガイダンスを維持しました。イングランド銀行も16日に政策金利の据え置きを決定しました。日銀は3月15~16日に開催された金融政策決定会合で、金利と政策の現状維持を決定しました。黒田総裁はインフレ率が目標をはるかに下回る水準にとどまっていることから、金融緩和策の中止や金利を引き上げる「理由」がないことを主張しました。

 3月14~15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り政策金利が0.25%引き上げられました。これは目下の利上げサイクルにおいて3回目の利上げになります(1回目は2015年12月、2回目は2016年12月でした)。2017年にはさらに2回、2018年には場合によっては3回の利上げが示唆されています。

 世界の動きをみると、3月15日に行われたオランダ下院選挙では、現職のマルク・ルッテ首相が率いる与党の中道右派、自由民主党がヘルト・ウィルダース党首の極右自由党に勝利しました。この選挙は今後の欧州の国政選挙におけるポピュリスト問題と難民問題の動向の目安になると目されていました。

 北朝鮮は米国が同国に対する非難を強める中、3月に2回のミサイル発射実験を行いましたが、2回目のミサイルは打ち上げ直後に爆発しました。ブリュッセルの自爆テロ(32人死亡)の1周年に当たる3月22日、ロンドンで単独犯によるテロが発生し、3人が死亡、多数が負傷しました。非常に残念なことに、この悲報に対する市場の反応は大きくありませんでした。

 英国は欧州連合(EU)からの離脱を正式に通告し(リスボン条約第50条)、2年間の交渉を開始しました。この交渉は難航が予想され、政治的、ことによると公的な駆け引きが予想されます。また、スコットランドでは英国からの独立の是非を問う住民投票実施が議会で議決されました。住民投票は英国政府の同意が得られれば、2018年に実施される見通しです。

 今後注目されるイベントとしては、4月23日に行われるフランス大統領選第1回投票で有力視されている(5月7日の決選投票に進出すると思われる)ル・ペン候補がEUからの離脱を主張している一方で、トルコは大統領職の権限強化に関する国民投票に続き、EUへの加盟交渉の継続について問う国民投票が実施される予定です。ドイツの連邦議会選挙は9月23日に実施されます(今年は欧州の国政選挙が目白押しです)。

 企業の雇用とレイオフ関連では、2月の雇用統計の非農業部門就業者数は引き続き堅調を維持し、予想の20万人増を大幅に上回る23万5,000人増となりました。1月の非農業部門就業者数の改定値は力強い22万7,000人増の速報値がさらに上方修正されて23万8,000人増となり、雇用の伸びがプラス圏で堅調に推移していることを示しました。失業率は1月の4.8%から4.7%に低下し、労働参加率は1月の62.9%から63.0%に上昇しました。週平均労働時間は横ばいの34.4時間でした。時間当たり賃金は1月の26.03ドルから0.2%増加して2月は26.09ドルとなり、前年同月比では(25.38ドルから)2.8%増となりました。

 コーヒーチェーン大手のStarbucks(SBUX)は2021年までに世界全体で1万2,000店舗を新設し、新たに24万人(米国では6万8,000人)を雇用する計画を発表しました。ケーブルTV大手のCharter Communications(CHTR)はトランプ大統領とのホワイトハウスでの会談において、同社のコールセンターを海外から米国に移し、米国内で250億ドルの設備投資を行い2万人の雇用を創出すると発表しました。米国の大手チョコレートメーカーHershey(HSY)は、主に米国以外の国や地域で従業員の15%を解雇する方針を明らかにしました。

※「米国株、3月微調整も息の長い強気相場が続く(3)」に続く

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