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【市況】S&P500 月例レポート ― 米国株、3月微調整も息の長い強気相場が続く(3) ―


●金融機関を皮切りに注目の決算発表スタート

 経済指標関連では、2月の個人所得が0.4%増、個人消費は0.1%増となりました。2月のPCE価格指数は前年同月比2.1%上昇し、コアPCEは同1.7%上昇しました。2月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.2%上昇し、コアPPIは同1.5%上昇しました。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%の上昇、コアCPIは同2.2%の上昇となりました。3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は事前予想の113.8を上回る125.6となり、2000年12月以来の高水準を記録しました。この力強さは個人所得の増加が見込まれたためであるとも考えられます。

 2016年第4四半期のGDP成長率の確報値は改定値の1.9%から上方修正されて2.1%となり、事前予想の2.0%を上回りました(2017年第1四半期のGDP成長率の速報値は4月28日に発表される予定)。

 住宅市場は、全面的にとはいえませんが概ね拡大が続いており、全米住宅産業協会(NAHB)が発表した3月のNAHB住宅市場指数は、66の予想に対して71となりました。住宅着工件数には勢いがみられ、前月比マイナスだった1月の数値が0.4%増に上方修正され、1月の住宅建設許可件数も0.6%増に上方修正されました。2月の中古住宅販売件数は前月比3.7%減となりましたが、前年同月比では5.4%の増加でした。新築住宅販売件数と中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。1月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前月比で0.2%、前年同月比で5.7%の上昇となりました。

 決算発表シーズンが間もなく始まりますが、2017年第1四半期の業績に対する予想は、昨年末時点から3.3%引き下げられ、2016年第1四半期終了時の予想を6.0%下回る水準となっています。今年の第1四半期の利益水準は、記録的な好決算だった2014年第3四半期に迫る勢い(わずかに0.8%及ばない水準)と予想され、直近の減益基調のボトムだったと思われる2016年第1四半期と比較すると21.6%の伸びが見込まれています。前年比での低いハードルが、好ましい決算を生みそうです。しかし、アナリストは決算の数字や業績予想をより詳細に分析するとみられ、それによって一部の状況に関する肯定的な解釈が打ち消される可能性があります。注目すべき決算発表が始まるのは、4月13日(木)の大手金融機関の発表からです。

 金利は、FOMCが利上げに踏み切り、年内の利上げをあと2回と示唆したにもかかわらず、低下しました。3月前半は金利が上昇しましたが、その後に低下し、月次ベースではほとんど変化がありませんでした。米国10年国債の3月末の利回りは前月末と変わらずの2.39%で、2016年末の2.45%から低下しています。30年国債の利回りは3.01%で、前月末の2.98%から上昇しました(2016年末は3.07%)。

 外国為替市場をみると、ユーロは2月末の1ユーロ=1.0586ドルから1.0656ドルに上昇し(同1.0520)、英国のEU離脱プロセスの開始が始まる中、英ポンドは1ポンド=1.2433ドルから1.2548ドルに上昇しました(同1.2345)。円は2月末の1ドル=112.53円から111.39円に上昇し(同117.00)、人民元は2月末の1ドル=6.8692元から6.8866元に下落しました(同6.9448元)。

 金は1トロイオンス1,251.60ドルで取引を終え、2月末の1,253.40ドルを下回りました(同1,152.00ドル)。石油は1バレル50ドル台前半のレンジを下抜け、40ドル台後半を試す展開となりましたが、在庫の増加が予想以下にとどまったことから月末にはやや値を戻し、2月末の54.15ドルを下回る50.85ドルで取引を終えました(同53.89ドル)。

 石油価格は値下がりしたものの、米国のガソリン価格は概ね横ばいで、2月末の1ガロン2.314ドルに対し、3月末は2.315ドルとなりました(同2.309ドル)。VIX恐怖指数は低水準にとどまり、3月末は12.37と、2月末の12.94を下回りました(同14.04)。

 個別銘柄では、小売り大手のTarget(TGT)は売上高が予想を下回り、今後の見通しについても厳しい見方を示しました。同社は店舗の改善に取り組むと述べています。農業機械・重機メーカーのCaterpillar(CAT)が、連邦当局による立ち入り調査を受けたことを明らかにしました。同社の海外事業の税処理問題が調査の対象だと報道されています。

 世界的石油会社Exxon Mobil(XOM)は、大規模プロジェクトを削減し、シェール地帯の小規模油田での生産に注力すると発表しました。

 ビル・アックマン氏率いるヘッジファンドのパーシング・スクエアが製薬会社Valeant Pharmaceuticals(VRX)の全保有株を売却し、30億ドルの損失を出したと報じられました。小売店を展開するSears Holding(SHLD)は、米証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書の中で事業継続に対する懸念を示しました。

 自動車メーカーのFord(F)は、自動運転車の開発費用が2017年の業績に影響を及ぼす恐れがあると述べています。また、一部のアナリストは同社の売り上げが逆風下にあるとの見方を示しています。著名投資家のアインホーン氏は自動車会社General Motors(GM)に対し、株式を2つのクラス(配当あり・なし)に分割するよう求めましたが、同社はこの提案を受け入れず、同氏の取締役就任も却下されました。一方、50億ドルの自社株買いプログラムは承認されました。

 スナップチャットの親会社Snap(SNAP)が新規株式公開(IPO)を実施し、1株当たり14-16ドルの予想レンジを上回る17ドルで2億株が公開されました。その後、株価は一時29ドルを超えましたが、3月末の終値は22.20ドルでした。

※「米国株、3月微調整も息の長い強気相場が続く(4)」に続く

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