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【特集】高橋春樹氏【陥落1万9000円、“撤退”か“押し目”か決断の時】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―警戒レベル引き上げも国内業績は堅調、春相場の戦略は―

 昨年11月の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、“トランプ相場”の名のもとに強烈なブル相場が形成された。しかし、ここにきて日米ともに株式市場は変調をきたしている。4月新年度相場を目前に、ここは押し目買いチャンスなのか、それともいったんキャッシュポジションを高めるべきなのか、投資家にとって悩ましい場面だ。相場の先読みで定評のある市場関係者3人に、ここからの投資戦略と銘柄について意見を求めた。

●「4月相場は海外投資家の買い越しに期待感」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 東京株式相場に影響を与える変動要因としては、当然のことながら上場企業の業績動向が最も重視される。ただ、昨年11月以降の“トランプ相場”の上昇過程のなかでは、米国株高と外国為替市場での円安進行が日経平均株価を押し上げる主要なけん引役となってきたことは確かだ。

 トランプ政権は医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しを財源に大型減税や規制緩和の実現を進める方針を打ち出しきただけに、オバマケアの代替法案を撤回したことで、主要な経済刺激策の実現に不透明感が増している。NYダウ平均株価が調整局面に入ったことは否定できない。注目したいのは、その調整が大幅で長期にわたるものなのか、小幅で短期間に終了し、早目に上昇軌道に復帰できるのかという点だ。

 過去数年間のなかで、長めな調整としては、2015年夏の中国人民元の大幅切り下げショックによりNYダウ平均株価が約3ヵ月間に14.4%下落。さらに、15年11月から16年1月に掛けて、原油価格の急落を背景にNYダウが12.6%下落した2度のケースがある。これら、2回の長めの調整には、中国人民元切り下げや、原油価格急落といった明確なマイナス要因が突発的に生じて、リスクオフの状態に陥ったという共通点がある。

 現在は、米国をはじめ、欧州、中国など主要国の経済状況は比較的良好であることから、今回のNYダウ平均株価の調整は、値幅で1000ドル程度、率にして約5%の小幅な調整にとどまるのではないか。円相場についても、米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げの方向性を明確にしており、極端な円高・ドル安進行の可能性は少ない。また、円・ドル相場のボラティリティが縮小傾向にあることにも注視したい。

 4月は、海外投資家が大幅に買い越す特異月に当たっており、堅調な推移が想定される。日経平均株価は1万8500~1万9000円のレンジを下値ゾーンとして、新年度は企業業績の向上期待を背景に比較的堅調な推移となりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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