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【特集】イーレックス Research Memo(9):代理店制度とアライアンスパートナーの活用で販路は順調に拡大中

イーレックス <日足> 「株探」多機能チャートより

■中期経営計画『Dash 1000』とその進捗

2. 販売戦略とその進捗状況
(1) 全体の状況
販売戦略については、極めて順調に進捗している。オフィスや大型店舗などの大口需要家を主たる対象とする高圧分野については、設立当初から代理店制度を採用しており、現状は1,300を超える代理店を擁して顧客開拓に当たっている。前述のように、2016年3月時点では約8,000だった高圧分野の需要家数は、9月時点では約9,400に上った。その後、第3四半期に入ってもその拡大ペースは維持されており、12月末までには契約顧客件数は10,000件に達した。内容的にも、イーレックス<9517>にとって収益性の高い顧客の構成比が高まってきており、今通期の業績見通し上方修正の一因ともなった。

2016年4月に自由化された一般家庭や小規模店舗を主体とする低圧分野では、子会社のESMやESAMを軸に、各地の顧客密着型企業と提携して開拓を進めている。提携先が持つ顧客数(同社にとっての潜在顧客数)は9月末で約300万件を数えており、これまでのところは当初計画を上回るペースで契約数が伸びている。顧客件数は2016年9月末に約25,000件に上ったのち、2017年2月初旬には約43,000件に上った。2017年3月末時点の目標顧客件数は53,000件となっている。2ヶ月弱の短期間で7,000件の新規契約を積み上げるのは簡単なことではないが、弊社では達成可能性は十分あるとみている。仮に未達で終わったとしても、通過点に到達するタイミングがずれたに過ぎない。顧客数でみた低圧分野の潜在規模ははるかに大きいと考えられるためだ。

(2) 販売地域の拡大
“販売戦略”という言葉は、拡販のスキームや販売手法など様々な内容を包含するが、代理店制度や提携戦略などは前述したとおりだ。2017年3月期においては、販売地域の拡大で顕著な進捗があった。それは、沖縄における電力小売事業への参入だ。

同社は2015年10月に沖縄への進出を決定し、事業化調査を行ってきたが、地域密着型営業のために地元有力企業との協業が不可欠との判断に至り、沖縄ガス(株)と合弁で(株)沖縄ガスニューパワー(以下、沖縄ガスNP)を設立した(出資比率:同社60%、沖縄ガス40%)。沖縄ガスは県内唯一の都市ガス事業者として、那覇市を中心に都市ガスを供給するほか、県の南半分に対してLPガスを供給している。

沖縄ガスNPは2016年8月に新電力(PPS)としての登録を完了し、10月1日から電力の供給を開始した。沖縄ガスNPの立ち位置は同社と同じPPSで、沖縄ガスNPが電力供給者として顧客と契約を結ぶ。実際の顧客獲得は、沖縄ガスが沖縄ガスNPの代理店として、自社の既存客を主体に開拓を行うという構図だ。

今第3四半期(単独期間)において、沖縄での電源確保に関して進捗があった。沖縄事業の電源については、JEPXからの電力調達ができない(本土とケーブルでつながっていない)ため、沖縄電力のバックアップ電源や県内の太陽光発電事業者から調達しているが、今回、同社が沖縄に自社発電施設の建設を計画していることが明らかとなった(詳細は電源確保の項を参照)。

沖縄に続く販売地域拡大の対象は四国になると弊社ではみている。同社は土佐発電所と佐伯発電所を擁し、四国への電力供給には最適な発電所立地となっている。これまで四国への供給が行われてこなかったのは、人口や経済規模からみて優先順位が低かったためとみられるが、前述のように大都市圏ではPPS間の競争が激しく、PPS契約の主戦場は地方都市に移りつつある。今後の正式な発表を待ちたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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