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【特集】大塚竜太氏【週後半、大台「2万円」挑戦は始まるか】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―決算対策売りは一巡、ビッグイベント“通過後”見通しを聞く―

 週明け13日の東京株式市場は、朝方こそ売りに押されたものの、その後は売り物を吸収してやや買い優勢の地合いに変わった。期末特有の決算対策売りも一巡した気配があり、日経平均株価が改めて下値を試すような雰囲気には乏しい。ただし、今週半ばに米FOMCやオランダの議会選挙、予算教書の提出といったビッグイベントを控えており、投資家にとっては気がかりな環境が続く。イベント通過後の今週後半以降、相場はどういった変化をみせるのか。株式市場や為替相場の見通しについて、マーケット関係者の見解をまとめた。

●「4月新年度入りで日経平均2万1000円指向」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 目先は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が注目されるが、いうまでもなく利上げ実施については完全に織り込まれている状況で、イエレンFRB議長のFOMC後の記者会見のほうにマーケットの視線は注がれている。今後の利上げペースがどうなるかに市場の関心は集中しているわけだが、仮にイエレン議長のコメントがタカ派的な色を帯びたとしても、年4回を示唆するような発言まで傾くことはないだろう。米2月の雇用統計は非農業部門の雇用者数こそ市場コンセンサスを上回ったものの、賃金伸び率などを見る限り、それほど慌てて利上げを行う必然性はない。

 トランプ米大統領の政策に対するフォローも少々鈍く、なかなか全容が明らかにならない。これが近々に予定される予算教書提出で明確化されるのかどうかは別として、米長期金利の動きなどにも反映されているように、まだ市場には懐疑的なムードが漂っている。

 とはいっても、米国株市場は既に金融相場から業績相場に移行していることは明らかであり、当面は足腰の強い相場が続きそうだ。

 対して日本株は、日銀の政策スタンスを見れば一目瞭然であるように金融相場の只中にある。米国株と連動しているようで、相場の実態は似て非なるものだ。日本株は日銀のETF買いなどで売り方の仕掛けが封じられている分だけ、リスクプレミアムが低下しているが、来期の業績に自信が持てる局面となれば、今後は日本株の上値余地に海外投資家などが改めて注目してくる可能性は高いと考えている。

 今週15日はオランダの議会選挙、4月にはフランス大統領選などを控え、反EUの流れを警戒する声も根強いが、トランプ氏の大統領選勝利とその後の米株市場の動きをみても明らかなように、マスコミの懸念は実は相場にはポジティブに働く。例えば、今回のオランダ選挙で万が一、極右政党が政権を掌握するようなら、株価は一瞬ショック安があっても、その後は“倍返し”で上昇する。極右政党の議席が伸びなければ現状維持、しかし一気に議席数を伸ばした場合でも、恐るるに足らずなのである。

 今後の見通しとしては、ドル円相場は早晩1ドル=115~120円のレンジに移行するとみている。また、日経平均株価は4月新年度入りから5月初旬にかけて2万円を通過点に下値を切り上げ、2万1000円を目指す展開を想定している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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