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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 2万円回復“前夜”、風雲急を告ぐ東京市場

株式評論家 植木靖男

「2万円回復“前夜”、風雲急を告ぐ東京市場」

●円安が「動かない株価」を突き崩す!

 東京株価は、3月第2週の後半にかけて風雲急を告げる展開をみせ始めた。年初来の膠着状態から放れる兆候が鮮明になってきたのだ。

 これまで“動かない株価”といわれ、投資家の市場離れが憂慮されていたが、その背景は、ひとつはせっかくの米国株上昇も、これまで連動性を強めていた日本株に波及しなかったことにある。米国株上昇の要因は、トランプ政策への期待だが、その効果はオンリー米国との見方である。

 もうひとつは株式需給だ。これまで時に放れる兆しが生じても、すぐに摘み取られてしまう。上値を抜けようとすれば、決算対策売りや市場離れの個人投資家の売りに押される。下値では日銀が口を開けて待っている。

 これでは株価が動かないのも道理だ。しかも、材料面から、3月中旬には米予算教書、オランダの選挙、米FOMCなど株価に影響を及ぼすとみられる重要イベントが重なる。こうしたことも株価が動かない要因となっている。

 だが、ここへきて動かない株価が急展開をみせ始めたのだ。

 きっかけは米長期金利の急上昇だ。2.6%処に躍り出てきた。このため円安が進み、一気に115円台に乗せてきた。

 もっとも、ここ上昇をみせたのは、なにも円安ばかりのせいではない。

●一段の円安が2万円乗せのカギ握る

 騰がるに必要なお膳立てが整ったこともある。

 年初来のもみ合いをみると、上値は1万9500円前後が抵抗帯となっているが、下値が着実に切り上がっているのだ。さらに、3月に入って超閑散商状、1日20億株を超えたのは僅か1日しかない。こうしたことが株価を押し上げたとみてよいだろう。

 さて、こうなると、年初来の高値更新に関心が集まる。

 さらに、円安が進むかどうかがカギであろう。

 米国金利は、昨年12月15日に2.6%処が高値であった。そのときの為替は118円台である。だとすれば、現状でも、もう少し円安が進んでもおかしくない。さらに米金利が上昇すればなおさらである。

 こうした円の一段安が、日経平均が年初来高値を更新し、2万円に向けて続伸する背中を押すことになろう。

 ただ、上値には限界がありそうだ。理由は、ひとつは米金利の上昇が、3%台に乗せてくればさすがに経済成長率とのバランスが崩れるリスクがある。また、3月第2週に日米株価ともに4~5日ほど軟調な展開をみせていることが尾を引く公算があるからだ。あまり欲張らないことが肝要であろう。

2017年3月10日 記

株探ニュース

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