【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 拾う神になれ! 魅力大の逆張り投資
株式アドバイザー 北浜流一郎
「拾う神になれ! 魅力大の逆張り投資」
●トランプ大統領が牽引する雇用改善
米国の2月雇用統計の発表を待つことなく東京市場は見切り発車だ。もちろん、雇用の改善が進んでいる。こんな予想からの大幅高(10日の日経平均は286円高)であり、読者が当欄をご覧になる頃には、その数字が明らかになっているだろう。
そして、それは好ましいもの、たとえば非農業部門の雇用が20万人以上増加している。こんな形になっているに違いない。
もちろん、それに届かず15万人前後の増加かもしれない。それでも市場はそれをマイナス視することはないと見てよい。大事なのは増加傾向が続いていることであり、この点懸念すべき状況にはないからだ。
そして、今後も雇用の改善は続く。こう見てよい。トランプ大統領はことのほか雇用の拡大に熱心に取り組んでいるからだ。確かにそれはすぐに成果に繋がるものではあるまい。しかし、大統領自らが先頭に立って雇用の拡大を叫び、協力する企業を褒めそやし、非協力企業は冷遇されそうな気配にある。
株式投資で米国の雇用情勢が極めて大事なのは、その増減で米国経済の趨勢が一目瞭然となるからだが、われわれ投資家にとってはそれがドル・円の主要な変動要因となることが大きい。
残念ながら東京市場は、ドル高・円安になってくれなくては上がらない。そのため常に問題になるのは、円が今後も下がるのかどうか。こうなるが、目先は下げても先行きとなると下がりにくいと見る。
FRBが市場予想&期待通りに今月14~15日開催のFOMCで利上げを決めたとしても、それはすでに株価に織り込まれているし、次の利上げまではまた数ヵ月を要するからだ。
●急落のネガティブ株を見直し買い
この点を考えると、投資の対象は東証1部銘柄ならば、信用取引の取組妙味のある銘柄、そして東証1部を含め、全市場に共通する選択方式としては、これまで繰り返し注目を促してきた「強小強勢」銘柄。これへのシフトだ。
そして、やや時間をかけることを前提に、ネガティブ情報で売られた銘柄への逆張り投資。これも安全度という点では魅力大だ。
そこで今回は、この種の銘柄を中心に紹介しておこう。捨てる神あれば拾う神あり、の実行お勧めということで。
具体的にはまずはすでに取り上げたことがあるアスクル <2678> になる。物流センターの火災からの再生を目指すことになり、なお難儀が続くものの、やがて再生を果たすと見てよく、低迷中の株価は引き続き拾いどころだ。
配送すべき荷物の増加にシステムが追いつかず苦境に陥ったことで株が大きく売り込まれたヤマトホールディングス <9064> も、投資するならいまのうちがよい。決して値動きの軽い銘柄ではないが、安値となっているのだから魅力的だ。
真偽のほどは明らかではないものの、内紛により社長が交替すると見られている三越伊勢丹ホールディングス <3099> も急落したところで横ばいを数日続けている。ここからはもう下げても知れており、安全度が高い。
急落した銘柄が全て魅力的ということではないのだが、昭和電工 <4004> もまた逆張り投資に向く状況にある。子会社のそのまた子会社の取引を精査する必要があるとして16年12月期決算の発表を再延期したことで売られてしまったわけだが、この問題はやがて解決する。この点を考え、株価が低迷中のところを拾っておくのが良策になる。
逆張り銘柄とは逆に、順張り銘柄で魅力的なのは、測量機器、眼科用医療機器類で高技術と実績を持つトプコン <7732> 、新興銘柄では中小企業向けクラウドサービスの提供で伸びているラクス <3923> [東証M]がある。ただ、目先は急伸中のため、浅押し=小反落を待ちたい。
2017年3月10日 記
株探ニュース