【市況】国内株式市場見通し:節目の2万円が意識されるか
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の日経平均は上昇。週末には19600円を回復し、終値ベースでの昨年来高値を更新している。イエレンFRB議長講演では、景気の進展が続けば、今月の利上げを支持する考えを明確に示唆。また、フィッシャーFRB副議長もニューヨークで講演し、3月の利上げを遠回しに示唆した。しかし、円相場は1ドル113円70銭辺りと円安基調はさほど強まらず、週明けの日本株市場は手掛けづらい状況だった。また、北朝鮮によるミサイル発射報道もあり、地政学リスクの高まり等も手控え要因になった。
注目されていたADP雇用報告では、民間部門雇用者数が29.8万人増と、市場予想の18.5万人増を上回る大きな伸びとなった。これにより週末の雇用統計を待たずに14、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが確実視される格好。日経平均は調整が続くなか、25日線など支持線が集中する水準まで下げた後は下げ渋る展開に。週末のメジャーSQ通過後は米利上げを織り込む格好から上げ幅を拡大させた。
SQ概算値は19434.30円となった。225型がやや売り越しだったようであるが、ファーストリテ<9983>の動きをみると、小安く始まったが寄付き直後に急速に上げ幅を広げており、SQに絡んだ買いオーダーの一部が遅れた感はある。この上昇により、日経平均はもち合いレンジの上限を捉えてきている。今週はこのレンジを明確に上放れてくるようだと、節目の2万円が意識されるだろう。週末の米国市場では、注目された2月雇用統計で非農業部門雇用者数が23.5万人増と予想(20.0万人)を大きく上振れたほか、失業率が改善したことが好感された。FRBがこのところ示していた楽観的な景気認識を裏付けるものとなった。これにより、FOMCで追加利上げとなろう。織り込み済みではあるが、これまで日本株については見極めムードからこう着が続いていたこともあり、ドル高進行や米国債利回りの上昇を背景にトレンドが強まる可能性はある。
また、オランダでは15日に、注目されている欧州の一連の選挙の先陣を切って議会選挙が行われる。反EU・反移民を掲げる極右政党「自由党(PVV)」のウィルダース党首は「オランダのトランプ」と呼ばれている。警戒感が強まる可能性があるものの、足元で欧州市場は落ち着いた動きをみせているほか、欧州比率の高い精密セクターなどには買い戻しとみられる動きも散見されている。最新の世論調査では、今のところウィルダース氏がオランダのEU離脱を実現させるのは事実上不可能だとの見方が大勢のようである。また、これまでのようなサプライズがないとも言えないが、市場はサプライズからの波乱展開に対する修正の早さも目立っている。
その他、米連邦債務上限の適用停止期間が終了する。これについては米財務省は、当面の政府資金調達を続けるため特別措置をとる可能性がある。政治的停滞による国債利回りの急上昇が警戒される可能性はあるが、米議会は現在、上下両院とも共和党が過半数を占めているため、過度な警戒にはつながらないように思える。その他、トランプ政権が予算概要を議会に提出する。これら警戒要因が通過することで、アク抜け的な動きが意識されてこよう。
日経平均は先週末の大幅上昇の反動もあって、週初はもち合いレンジ上限レベルでの攻防といったところか。その後、高値圏での底堅さが意識されるようだと、アク抜け後のレンジ上放れが意識されてくるだろ。日経平均は年初からのこう着で、相当煮詰まり感が台頭している。期末要因から貸株の返却に伴う、買い戻しといった需給要因も意識されやすいだろう。また、先週のメジャーSQを含め、昨年11月から5ヵ月連続でSQ値が切り上がっている。これについては、アベノミクス相場が始まった12年11月から13年5月の7ヶ月連続して切り上がった以来、4年ぶりとなる。改めて中期的な目標値として、日経平均の2万円が意識されてくる可能性が高そうだ。
《FA》
提供:フィスコ