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【特集】TOKAI Research Memo(4):情報及び通信サービス、アクア事業の損益が大幅改善

TOKAI <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ガス及び石油事業
TOKAIホールディングス<3167>のガス及び石油事業の売上高は前年同期比12.1%減の51,291百万円、営業利益は同6.1%増の5,550百万円となった。前期に実施した原料価格値下がりに伴う販売価格引き下げの影響で約62億円の減収要因となったものの、仕入価格の低減効果が上回り、増益を確保した。

主力のLPガス事業は、12月末の顧客件数が前年同期比7千件増、前四半期比で2千件増の582千件と順調に積み上がっている。前期から新規進出した南東北エリアや愛知県の一部地域(豊川市)での顧客獲得が進んでいることが要因だ。また、夏場に同業他社との競合が激化し、一時的に同エリア内で解約数が増加したものの、対策を講じたことで第3四半期はその影響もほぼ沈静化している。なお、1顧客当たり消費量についてはほぼ前年同期並みの水準で推移した。一方、都市ガス事業の顧客件数は前年同期比1千件増、前四半期比で横ばいの54千件となり、売上高は販売価格引き下げの影響により減収となった。

(2) 情報及び通信サービス事業
情報及び通信サービス事業の売上高は前年同期比13.2%増の36,212百万円、営業利益は同103.3%増の2,993百万円と大幅増益となった。ブロードバンド事業の顧客件数は前年同期比33千件減の808千件と減少したものの、従来型ISPサービスから光コラボへのシフトが進んだ結果、1顧客当たり月額売上高が同26%増の3,037円まで上昇し、増収要因の大半を占めた。また、利益面でも光コラボの営業損失が前年同期の2,418百万円から125百万円に大幅縮小したことが増益要因となった。光コラボの顧客件数は前年同期比の173千件から288千件となり、光コラボ率※で52.7%と全国平均を上回って推移している。

※光コラボ率=光コラボ期末契約件数÷(フレッツ光期末契約件数+光コラボ期末契約件数)

一方、法人向けのデータ通信サービス及びシステム開発については、売上高、営業利益とも前年同期比で若干の増収増益となった。

(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前年同期比3.0%増の18,901百万円、営業利益は同46.2%増の2,125百万円となった。顧客件数が順調に拡大したことに加えて、通信サービスなど付加価値サービスの利用者数増加やコスト削減、のれん償却の減少などが利益率の改善要因となった。

当第3四半期末の顧客件数は、放送サービスが前年同期比9千件増の506千件、通信サービスが同15千件増の222千件といずれも増加基調が続いている。放送と通信のセット販売による割引施策や、大手携帯キャリアとの連携によるスマートフォンとのセット割引の効果により新規顧客の獲得が進んでいるほか、カスタマーサポートの強化により解約防止に取り組んでいることも契約件数の増加に寄与した。

(4) 建築及び不動産事業
建築及び不動産事業の売上高は前年同期比6.2%減の12,926百万円、営業利益は同18.4%増の619百万円となった。住宅販売やリフォーム事業における太陽光発電等の機器販売が減少したことが減収要因となったものの、リセプション事業(建物管理サポート)の拡大により、利益面では増益となった。

(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前年同期比6.3%増の4,391百万円、営業利益は299百万円(前年同期は933百万円の損失)となり、四半期ベースでも2四半期連続で黒字となった。当第3四半期末の顧客件数は、宅配水市場全体の成長鈍化もあって前年同期比1千件増の135千件の若干増にとどまったが、当期より効率の良いマーケティング戦略(コスト効率重視)に転換したことで、顧客獲得費用を前年同期の1,058百万円から726百万円に圧縮したことや、テレビCM等の広告宣伝費等も削減したことが増益要因となった。

(6) その他・調整額
その他・調整額の売上高は前年同期比5.7%増の3,708百万円、営業損失は3,396百万円(前年同期は3,741百万円の損失)となった。

介護事業では、静岡県内で7施設を展開しているデイサービス施設や介護付き有料老人ホームの利用者数増加により売上高が順調に拡大し、営業損失も縮小した。また、船舶修繕事業は船舶の修繕工事量の増加に伴い増収となった。一方、婚礼催事事業は婚礼挙式組数、催事の利用が前年同期並みとなり、売上高も横ばい水準にとどまった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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