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【特集】大谷正之氏【春を待つ東京市場、上値のフシ“突破”はいつ?】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―15日・米利上げ濃厚、為替追い風に2万円“再挑戦”も―

 週明け6日の東京株式市場は前週末の地合いを引き継ぎ利益確定の売り優勢の展開となった。日経平均株価は前週2日に1万9668円まで買われたが、そこから一気に2万円台を目指す流れとはならず、跳ね返された。1万9000円台半ばは依然として戻り売り圧力の強い壁として立ちはだかっている。3月期末接近で日経平均の着地点への思惑も入り乱れるなか、全体相場の見通しについて、第一線で活躍するマーケット関係者に話を聞いた。

●「4月中には日経平均2万500~2万1000円にトライ」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で、現地3月14日、15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ検討方針を明言したことから、利上げが極めて濃厚となっている。さらに、その後も3ヵ月サイクルでの継続的な利上げ観測も浮上しており、中期的には円安・ドル高の圧力が継続しそうだ。4月以降の新年度も、円安・ドル高の持続は、輸出関連を中心に日本企業の業績にとっては追い風となって作用しそうだ。

 米国では3月中にも議会に提出される「予算教書」を巡って、これに盛り込まれる具体的な経済政策について、徐々にその輪郭が明らかになるのではとの期待感が高まることが予想される。今後、積極的な経済政策を標榜するトランプ大統領と、財政の健全化を重視する議会が、どう折り合いをつけていくかに注目が集まりそうだ。

 ただ、一方で北朝鮮によるミサイル発射などの地政学的なリスクや、欧州安定メカニズム(ESM)によるギリシャへの追加融資を巡る不透明感、欧州各国で相次ぐ国政選挙による経済政策へのマイナス影響懸念などリスク要因も存在する。

 こうしたなかでも、東京株式市場は当面強調推移となりそうだ。4月中には日経平均株価で2万500~2万1000円にトライする可能性も十分ありそうだ。セクター別では、過去最高益更新企業が多数輩出している化学、国内外の設備投資環境の好転で受注の持続的な好調が期待できる機械、ようやく底入れの兆しが鮮明となってきた個人消費関連の百貨店も含めた小売りに注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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