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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆春の嵐に備える◆

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

〇米国情勢主導も、3月のイベント前に調整〇

NYダウはついに12営業日連続で最高値を更新、1987年の記録に並んだ。元々、空売り残が多いと言われてきた米株市場だが、債券市場からの資金シフトが一服した後も、買戻し圧力が支えているのであろうか。耳目は本日のトランプ議会演説に集まっているが、一足早く、27日の州知事等との会合で「歴史的に国防費を増やす」(540億ドル規模、その分、国務省予算の対外援助、環境保護局予算などを大幅削減方針)、「28日の演説でインフラ投資計画を明らかにする」方針を述べた。また、保険会社との会合で「オバマケア見直しへの協力要請」を行った。トランプ政策への期待が戻った格好となった。

ただ、3月はイベントが目白押し。四半期ラリーの名残か、真ん中の2、5、8、11月にポジション調整が出易い印象(昨年は2月急落、11月急騰)があり、2月相場ではジワリ調整色が覆った感があった。3月のイベントを睨んでの動きだが、事態は流動的になり易い。主なポイントは以下。

1)トランプ政策・・・3月13日メドの予算教書提出、14-15日のFOMCがヤマ場となる。市場は具体策を求めており、何処まで踏み込んだ内容となるかが焦点。FOMCでの利上げ確率は低いが、5-6月の利上げ確率の強さが注目点。

2)オランダ選挙・・・3月15日はオランダ下院選挙(定数150)。4-5月の仏大統領選、9月独総選挙につながる(伊総選挙も時期未定ながら予想される)ものとして関心が高い。世論調査で、反ユーロ、反移民、反イスラムを掲げる自由党(PVV)が約20%の支持を集めトップを走る。「反エリート」は61%の支持。ただ、オランダの選挙は一政党が過半の議席を獲得したことは戦後無い。どういった連立枠組みになるのか、選挙後も混乱が続く可能性がある。

3)圧力受ける国の情勢・・・3月5日からの中国全人代で習近平体制が強化される見込みで、管理強化が予想される。26日予定の香港行政長官選挙にも圧力が波及し、民主化勢力の不満が高まるリスクがある。また、トランプ政策で国境税やNAFTA見直しの圧力はメキシコに集中する。メキシコが混乱するようだと、米国はもちろん世界経済に波及するリスクがある。3月20日が期限と見られるギリシャ支援策も協議難航のリスクは残る。

4)朝鮮半島情勢・・・北朝鮮の孤立感は従来にないレベルにある。制裁抜け道としていた東南アジア、一部欧州とも断絶の動きにある。中国は石油パイプラインは止めていないようだが、国境制限に動くようだと、北朝鮮の不満が暴発する恐れがある。3月は米韓合同軍事演習が行われ、一触即発ムードが高まる。

5)需給は好転か・・・3月末を目指したポジション調整が出易い時期だが、今年は早めに調整が進んでいる可能性が高い。例えば、ロイターは企業の海外収益の本国送還(レパトリ、円高要因)は比較的規模が小さいのでは、との観測を出している。通例、3月10日のメジャーSQ通過後は、4月以降のポジション取り、期末配当取りの動きに変わる。大きな事件が無ければ、需給好転が支えの相場展開に向かおう。


以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/28号)

《WA》

 提供:フィスコ

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