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【通貨】為替週間見通し:やや強含みか、3月利上げを想定したドル買い継続へ

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドルは一時114円75銭、米3月利上げ織り込むドル買い

先週のドル・円は上昇。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長や米ニューヨーク連銀のダドリー総裁らが3月の利上げを支持したことや、米主要経済指標の改善を受けて主要通貨に対するドル買いが活発となった。

ドル・円は2月28日発表の10-12月期国内総生産(GDP)改定値が予想を下回ったことから、一時111円69銭まで下落したが、米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は米CNNとのインタビューで「金融政策を引き締める根拠は今やかなり強まっている」との見方を示した。ダドリー総裁の発言を受けて3月利上げの可能性は再び高まり、ドルは反発に転じた。

日本時間3月1日午前に行われたトランプ米大統領の議会演説に対する評価はまちまちだったが、米議会との協調が期待されたことでリスク回避的なドル買いは縮小した。米長期金利の上昇やNYダウの最高値更新などもドル買い材料となり、ドルは3日のニューヨーク市場で一時114円75銭まで買われる場面があった。

3日に行われたイエレンFRB議長の講演では、「雇用関連の指標とインフレが力強さを維持すればFRBは今月の会合で利上げを決定する」との見解が表明された。同日にはフィッシャーFRB副議長がニューヨークでの講演で3月利上げを支持する見解を表明した。ただ、イエレンFRB議長の講演では「緩やかなペースでの利上げが適切になる可能性が高い」との見方が示されており、年内3回の利上げペースを上回る可能性は低いとの思惑が広がった。ドル・円は114円台後半で上昇一服となり、利食い目的のドル売りが増えたことで一時113円台後半まで反落し、114円04銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:111円69銭-114円75銭。

■やや強含みか、3月利上げを想定したドル買い継続へ

今週のドル・円はやや強含みか。今月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、連邦準備制度理事会(FRB)の当局者は利上げに前向きな見解を相次いで示しており、10日発表の2月米雇用統計が市場予想に沿った内容だった場合、3月利上げは確定的となりそうだ。市場コンセンサスである年3回の利上げの可能性も高まり、日米金利差の拡大を意識したドル買いは継続すると予想される。NYダウは21000ドルの大台を超えるなど米国株の上昇基調は維持されており、株高もドル相場を押し上げる一因となる見通し。

一方、今月15日投開票のオランダ総選挙を控え、欧州政治リスクが浮上しやすく、ユーロ安・円高が急速に進んだ場合、ドル・円相場は圧迫される可能性があることも想定しておきたい。また、トランプ政権による減税やインフラ投資などを柱とする景気刺激策の効果をすみやかに確認できない状況下で、FRBは利上げペースを速めることはできないとの見方は残されており、ドル上昇を抑える一因となる。

【日・10-12月期国内総生産(GDP)】(8日発表予定)
8日発表の10-12月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率+1.6%と予想されている。改定値が予想を上回った場合、株高の要因となることから、リスク選好的な円売りが出やすい。

【米・2月雇用統計】(10日発表予定)
10日発表の2月米雇用統計は、失業率4.7%、非農業部門雇用者数は前月比+18.5万人、平均時給は前月比+0.2%と予想されている。1月の雇用統計では失業率の上昇や平均時給の伸び率が鈍化し、ドル売り材料となった。2月については、非農業部門雇用者数は1月実績に届かないものの、平均時給の伸びは前年比ベースで1月実績を上回ると予想されており、市場予想と一致した場合でもドル買い材料となる。

予想レンジ:113円00銭-116円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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