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【市況】国内株式市場見通し:3月の米利上げ確率の高まりを背景に株高が意識されやすい

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。2日には一時19668.01円を付け、1月5日以来の昨年来高値を更新した。トランプ大統領の議会演説を控えるなか、週前半はこう着感の強い相場展開が続いた。しかし、トランプ大統領の議会演説では過激な発言等もなく、無難に通過したとの見方から安心感が高まり、日経平均は19400円を回復。さらに1日の米国市場では議会演説が好感されたほか、利上げ観測の拡大を受けて金融セクターを中心に上昇し、NYダウは300ドルを超す上昇となった。これが支援材料となるなか、2日の日経平均の昨年来高値更新に波つながった。

トランプ大統領の議会講演後は、市場の関心は3月の利上げの可能性に向かった。ゴールドマン・サックスは3月の米利上げの確率を30%から60%に引き上げたほか、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルが、従来予想では、利上げは6月と12月の年2回だったが、3月、9月、12月の年3回の予想に変更。さらにブレイナードFRB理事は、米国と海外の経済について前向きな見方を示した上で、そうした状況が米金融当局が「早期に」利上げに踏み切る論拠となりそうだとの見方を明らかにした。

今週も引き続き米国の利上げの行方が変動要因になりそうだ。3日のイエレンFRB議長講演では、景気の進展が続けば、今月の利上げを支持する考えを明確に示唆。また、フィッシャーFRB副議長もニューヨークで講演し、3月の利上げを遠回しに示唆した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は、来週の会合で雇用をめぐる指標とインフレが力強さを維持すれば利上げを決定する確率が高い。3日の米国市場ではシカゴ日経225先物が19460円とほぼ横ばい、円相場は1ドル113円台後半で推移している。ただ、3月の利上げ確率の高まりを背景に株高が意識されやすく、押し目買い意欲は強い。また、来週の米国では1月貿易収支、1月消費者信用残高、2月ADP雇用統計、2月輸入物価指数、新規失業保険申請件数などを経て、週末には2月雇用統計が予定されている。指標の内容を受けた利上げへの思惑が、株式市場での株高要因になりそうだ。戻りの鈍さは意識されるが、保険やメガバンクなど金融セクターの動向には引き続き注目したい。

その他、週末には先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)が予定されている。先週の日経平均は昨年末からのもち合いレンジを突破しつつあることから、19500円固めが意識されるが、波乱も警戒しておく必要があろう。メジャーSQ通過後は期末要因で機関投資家は動けなくなるため、引き続き中小型株が活躍する相場展開となる可能性も高そうだ。明確な柱となる銘柄やテーマ等が定まらない状況であるが、トランプ物色の流れから引き続きインフラ関連のほか防衛関連。トランプ米大統領が国防費の大幅増額を掲げる中、5日の全人代において世界第2位の予算規模を誇る中国がどの程度予算を増やすかも注目される。

また、安倍首相の任期が連続3期9年に正式に延長されることから、第4次産業革命と呼ぶべきIoT、ビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)等による技術革新に向けた動きが加速するとの思惑が高まろう。その他、ドイツ政府は運輸部門の水素・燃料電池の研究開発に日本円で総額約300億円を投じる計画を発表するなど、水素関連への物色も意識されやすい。さらに、相対的に出遅れ感が強いバイオ関連などは、出直りを探る動きが出やすいだろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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