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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆米利上げ攻防戻る◆

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

〇イエレン議長の議会証言に注目集まる〇

昨日は原油相場が一時2%安(WTI終値は1.73%安の1バレル52.93ドル、3週間ぶりの大幅安)、CRB商品先物指数1.02%安、金相場0.77%安。このところ主にストや事故での供給障害を材料に上昇していた商品相場の下落が目立った。大きな動きではないが、主要6通貨に対するドル指数が強含み、約3週間(1月20日以来)ぶりの高値を付けたことと連動し、投機筋のポジション調整の動きに押されたものと考えられる。

ポジション調整的な動きは米国債相場にも出て利回りが上昇した。10年物国債利回りは2.43%台(先週は一時2.3%台に低下していた)。市場の関心は、14日上院銀行委員会、15日下院金融サービス委員会で行われる半期に一度のイエレンFRB議長の議会証言に集まっている。ドル高の行き過ぎ警戒、1月の米雇用統計で賃金の上昇が鈍ったことなどから、3月利上げ観測(3月FOMCは1カ月先の14-15日)は後退し、短期金利先物が織り込む利上げ確率は18%。先週、WSJ紙が行ったエコノミスト調査では、約6割が6月利上げを予想、3月利上げは約1/4に止まった。

ただ、シカゴ地区連銀のエバンス総裁が9日、FRBが保有する4兆5000億ドルの債券残高を段階的に1兆5000億ドル程度に減らす可能性に言及。また、一部メディアがG20議長国のドイツが金融刺激策の縮小を求める共同声明の採択に動いたが、参加国の支持が得られず断念したと伝えた。底流には、金融引き締めへの警戒感が流れている。11日、フィッシャーFRB副議長は「米財政政策にかなりの不確実性がある」と述べ、トランプ政権の減税策などの行方を見極めたい意向を示した。近々、ようやく新財務長官が決まるであろうから、その発言動向も焦点となろう。

トランプ大統領が「ドル高が良いのか、ドル安が良いのか」悩んで深夜に側近に聞いたとのエピソードが流れたが、利上げ観測の強弱はドル相場に反映する。単純に見れば、貿易面からはドル安、米国への資金流入を維持するにはドル高基調(かつての「強いドル」姿勢)が重要だ。トランプ発言から、ドル高行き過ぎへの警戒感が強まり、ドルは軟化していたが、日米首脳会談で言及がなく、ドル高警戒感が緩む局面となっている。また、ユーロ(各国選挙やブレグジット交渉、ギリシャ問題など)や中国人民元(主に海外への資金流出圧力)には、各々内部要因で売られるリスク(ドル高要因)がある。ドルの事情だけでは決められないのが為替だが、米利上げ観測の強弱は大きな材料となるだけに注意を要しよう(当面、ドル円115円±2.5円ゾーンとの見方は維持する)。

突風が吹く可能性にも注意したい。最右翼は北朝鮮のミサイル発射。トランプ大統領は「非常に強い態度で対応する」と述べ、韓国外相は「米国の先制攻撃」の可能性に言及した。16日の金正日生誕記念日から3月の米韓合同軍事演習(北朝鮮が強く反発している)に掛け、緊張が高まるリスクがある。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/14号)

《WA》

 提供:フィスコ

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