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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆衝撃ニュース相次ぐも◆

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

〇『待ち過ぎるのは賢明でない』で米利上げ刺激〇

突風を上回る衝撃ニュースが相次いだが、方向感を決めるものではなく、予定通りイエレンFRB議長の議会証言でドル高基調、米株最高値続騰展開となった。

フリン大統領補佐官の辞任は、ロシアとの事前協議が問題となり、大統領自身が辞任を求め、更迭したと説明されている。報道官は「検証した結果、法的には問題なかった」としている。取り上げられていないが、大統領が夜中の午前3時に「強いドル、弱いドルどちらがいい?」と聞いた相手がフリン氏で、「専門領域でない」と答えたとされる(10日付日経)。ヒョッとすると、大統領はこの情報漏洩に激怒した可能性も考えられる。それ以前にも内部情報的な話が米メディアに度々流れ、調査を言明している。だとすると、トランプ政権の揺らぎも誇張されてて伝えられている可能性があり、体制が整わないまま、突っ走っている方に問題があるかも知れない。国防総省や国務省も、まだ次官以下の陣容は揃っていないようだ。

関心は、ようやく承認されたムニューチン財務長官の下で減税策やインフラ投資枠組みなどの取りまとめに向かうと考えられる。財務省は4月に半期為替報告書も取りまとめると見られ、為替姿勢、対中政策も重要となろう。市場は、イエレン議長の「利上げを待ち過ぎることは賢明でない」との見解で利上げ姿勢が戻ってきた。ただし、3月の可能性、年3回の方針には言質を与えなかったようで、財政政策の不透明さも指摘した。利上げが遅れれば、その先により早い金融引き締めを余儀なくされる(景気失速リスクが高まる)との姿勢は従来通り。株式市場では、金融株高、アップル最高値更新、オペル株売却のGM4.8%高などが目立った。

東芝の決算遅延は、またしてもかとの印象だが、株価8%安に対し日経平均影響度は-0.77円。直接的影響は悲しいぐらい小さいが、インデックス投資家には既にロスが発生している。また、19万人とされるグループ雇用にも衝撃的。会見中継を見たが、企業存亡の瀬戸際という緊迫感を欠き、当事者能力に疑問を感じさせる内容だった。損失の源の米WH社に抜本的メスを入れられないのであろうか。また、原子力に限らず、今決算発表で海外インフラ・プラント関連に損失が目立っており、一時的に見直す局面にあるように思う。トルコの海峡橋案件の受注を逃したことが報道されている(韓国側は数日前に勝利を伝えていた)が、インドネシアの中国案件の滞りなど競争過多の弊害が感じられる。

金正男氏殺害のニュースは衝撃的だが、市場にはほとんど影響していないようだ。以前には、海外追放的だった金正男氏を担いでのクーデター説があったが、最近は消息が伝えられることはほとんど無かった。報道通り、北朝鮮工作員の行為であれば、金正恩委員長の独裁維持に先手を打ったとの説明になろう。中国を含め暴走対処に一段と難渋することになると思われるが、緊迫度は高まっていると受け止められる。

結果的に、当面の市場動向は米国の政策動向が大きなカギとなっていることを示したと考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/15号)

《WA》

 提供:フィスコ

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