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【特集】佐藤正和氏【トランプ相場“上昇第2幕”は始まったのか?】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

―首脳会談通過で買い安心感、追い風のなか全体相場が向かう先―

 東京株式市場は前週末10日に一気に景色が変わった。トランプ米大統領の発言を受け日経平均株価は470円を超える上昇をみせたが、その後の日米首脳会談も両国の良好な関係が強調され、買い安心感がリスク選好の相場を後押ししている。カギを握る外国為替市場の動きも円安含みの推移となっており、風向きは追い風が意識される場面だ。日経平均と為替の今後の見通しについて、第一線で活躍する市場関係者の声をまとめた。

●「116円台へ円安進行も、目先の悪材料は出尽くしか」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 日米首脳会談では、為替への言及はなかったことから、市場には安心感が台頭した。麻生副総理・財務相とペンス副大統領による経済協議の枠組みが新設されることになり、状況次第では円高が進む局面もあるだろう。

 ただ、今回の首脳会談を経て、当面の悪材料は出尽くしたのではないかとみている。トランプ大統領は、よくも悪くも有言実行の人だ。リスクのある公約の多くはすでに出されており、これからは減税やインフラ投資、規制緩和といった市場に好感されやすい材料が期待できる。先日の税制改革に関する「驚くべき提案」という発言も、その流れに乗るものだ。

 今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=111~116円で、ドル高・円安基調とみている。ただ、米長期金利は上値が重く、年初の118円までのドル高・円安を期待するのは難しいと思う。

 当面は14日と15日に予定されているイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言が注目される。個人的には年3回の利上げの可能性はあるとみており、次回の利上げは6月と予想している。イエレン氏の発言で早期利上げの観測が高まるようなら、ドルが上昇する局面もあり得る。

 また、ユーロの動向も注目される。欧州では今春以降、フランスなどで重要な選挙が相次ぐ。欧州不安が高まるようなら、ユーロ安がドル高・円安を促す展開もあり得るだろう。ユーロの想定レンジは1ユーロ=1.04~1.08ドル。基調はややユーロ安だろう。対円では1ユーロ=119~124円で、こちらもユーロ安の基調だとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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