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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 週明け連騰するか否かが焦点

株式評論家 植木靖男

「週明け連騰するか否かが焦点」

●膠着相場の均衡崩した“朗報”

 東京株式市場は戸惑いと混迷の中で立ち竦んでいた。上値を買わず、下値を売らず、といった膠着状態にあった。

 買い方、売り方ともに攻めあぐんでいた。だが、所詮、相場はなにかのきっかけで戦端が開かれるのが常。

 2月10日の週末、突如“朗報”が飛び込んだ。

米国NYダウ平均が史上最高値を更新したのだ。トランプ大統領が近く税制、インフラ整備について発表すると言及した。米国株にとって待望の好材料出現である。

 外側にいる日本株も急騰、年初の1万9594円を奪回する位置まで上昇した。トランプ発言というよりも米国長期金利が上昇、2.4%台に戻したことで、為替市場で一気に1ドル=112円台から113円台に円安が進行したからだ。日本株にとっては、こちらの方が好材料である。

●会談後に幕開ける経済頭脳戦

ところで、目先的には、やはり日米首脳会談に関心が集まる。

 勝手な憶測でいえば、この会談、そのあと折角、楽しいゴルフや食事が予定されていることから、あたかも戦場で槍を叩き合うが如き殺伐な話し合いが行われるとは信じ難い。

 問題はそのあとである。トランプ大統領は再び指先介入(ツイッター)で日本を批判し続けるのではないか。なごやかな会談であったからといって、日本に手心を加えるような相手とは思えない。

 核心は通商と通貨、恐いのは円安批判であり、わが国の量的金融緩和策に言及してくることだ。いま、日銀は、これに応じることはあり得ないし、また応じたくてもできない相談である。いま止めれば即座に国債は暴落し、金利が急騰してしまうからだ。

 それを知ったうえで、トランプ大統領は通商で過大な要求を突きつけてくるのではないか。まさにディールである。

 安倍首相は「win-win(ウィンウィン)」と言っているが、これは経済戦争であり、トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」と言っている。勝つか負けるかしかない。ここは負けを小さくして一時撤退し、後日を期すのが最善の戦略であろう。小牧・長久手の戦いで秀吉がとった戦略である。

 さて、当面の展開はどうか。2月10日の急騰により局面は確かに変わったかにみえる。

 年初の高値を奪回し、2万円を望むには、とにもかくにも週明け13日、14日と連騰することが肝要だ。それが唯一の道ではないか。仮に週明け下げるようなら、望みが遠のくか、下手をすれば三尊ならぬ四尊天井となってしまうリスクが高まる。見極めたい。

2017年2月10日 記

株探ニュース

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