市場ニュース

戻る
 

【特集】桂畑誠治氏【トランプ相場“上昇第2幕”は始まったのか?】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―首脳会談通過で買い安心感、追い風のなか全体相場が向かう先―

 東京株式市場は前週末10日に一気に景色が変わった。トランプ米大統領の発言を受け日経平均株価は470円を超える上昇をみせたが、その後の日米首脳会談も両国の良好な関係が強調され、買い安心感がリスク選好の相場を後押ししている。カギを握る外国為替市場の動きも円安含みの推移となっており、風向きは追い風が意識される場面だ。日経平均と為替の今後の見通しについて、第一線で活躍する市場関係者の声をまとめた。

●「日米ともに上値指向の強い展開に」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京株式市場は足もとリスクを取る動きが顕在化している。日米首脳会談の行方が注目されたが、メディアを通じて良好な関係がアピールされ、成功裏に終わった印象が強い。二国間交渉では、実際にはこれからの調整が重要となるが、マーケットは前向きに捉えているようだ。今後トランプ発言などで紆余曲折はあっても、日米株式市場ともに上値指向の強い展開が見込めそうだ。

 安倍首相が提示した経済協力の原案である「日米成長雇用イニシアチブ」については、トランプ大統領のツイッターなどから今のところ明確なリアクションは確認されていないが、今後はこの雇用を絡めた経済協力の行方や貿易不均衡問題の落としどころなど、トータルな領域でペンス副大統領と麻生副総理を筆頭とした閣僚レベルの話し合いがなされていくことになる。

 直近では、トランプ大統領が日米首脳会談前に、減税策について数週間以内に「驚くべき内容のプランを発表する」とコメントしたことが、市場に大きなインパクトを与えた。法人税減税のほか、中産階級を対象とした所得税減税にも積極的な策が打ち出される可能性があり、米国株市場に吹く追い風が強まりそうな雰囲気となっている。3月のFOMCで利上げがないことを前提条件に、NYダウは今春に2万1000ドル台を窺う展開を想定している。

 東京株式市場は為替相場の影響が大きく、一概に言えない部分もあるが、基本的に米国株市場に追随する格好で上昇基調を続ける公算が大きいとみている。3月期末に向け、遅かれ早かれ日経平均株価2万円大台復帰は視界に入ってくるだろう。注目セクターとしては、自動車や機械株に着目。円高警戒ムードを考慮しても、グローバルな景況感回復が株価に浮揚効果を与える可能性が高い。また、大手金融機関の株価についても米国の金融規制の緩和や長期金利上昇傾向などを背景に、中期的な上値余地はまだ大きいと判断している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均