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【特集】田部井美彦氏【トランプ相場“上昇第2幕”は始まったのか?】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―首脳会談通過で買い安心感、追い風のなか全体相場が向かう先―

 東京株式市場は前週末10日に一気に景色が変わった。トランプ米大統領の発言を受け日経平均株価は470円を超える上昇をみせたが、その後の日米首脳会談も両国の良好な関係が強調され、買い安心感がリスク選好の相場を後押ししている。カギを握る外国為替市場の動きも円安含みの推移となっており、風向きは追い風が意識される場面だ。日経平均と為替の今後の見通しについて、第一線で活躍する市場関係者の声をまとめた。

●「トランプ米大統領の法人税減税に注目」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 前週末の日米首脳会談で目立った不安材料が浮上しなかったことから、市場参加者の間に安心感が広がり、きょうの東京株式市場では、日経平均株価が取引時間中として約1ヵ月ぶりに1万9500円を回復する場面もあった。次に市場関係者が注目しているのは、現地14~15日に予定されるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の上下両院での議会証言だ。今後の米金融政策に関して、もし利上げについて積極的な発言があれば、円安・ドル高が進行する可能性もある。

 さらに、トランプ米大統領が現地9日に、法人税減税の思い切った計画を数週間以内に発表すると発言していることから、2月末から3月初めの時期に大規模な法人税減税の輪郭が明らかになり、日米株式市場にとって追い風となりそうだ。

 今後の日経平均株価は、緩やかながらも上昇基調を持続することになりそうだ。近日中に、1月5日につけた取引時間中の高値1万9615円を突破して、2月中には2万円を目指す展開となりそうだ。

 個別銘柄では、塩野義製薬 <4507> に注目。従来の高脂血症薬に加えて、抗HIV薬やインフルエンザ治療薬の急拡大に伴うロイヤルティー収入により利益成長が見込める。また、電力・ガスの自由化関連や航空関連のシステム開発の受注拡大が見込まれるアドソル日進 <3837> 。さらに、ソフトバンクグループ <9984> は、世界最大のテクノロジー投資ファンドとして注目される1000億ドル規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を組成することにより、M&A関連市場でさらに威力を発揮することになる。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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