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【市況】S&P500 月例レポート ― 空前のトランプ政治ショーと続く楽観 (4) ―


※(3)から続き。

●投資家が押さえておくべきポイント(2)

==> 各国中央銀行は様子見姿勢

○トルコ中央銀行はオーバーナイト金利を0.75%引き上げました(現行9.25%)。

○しかし、大半の中央銀行は必要な場合には行動すると表明はしたものの、様子見姿勢を維持しました。

==> S&P500指数構成企業の56%が業績発表を終えましたが、第4四半期の業績は過去最高となる可能性

○比較の問題から前年比での業績改善は難しいものではありませんでしたが、2016年第4四半期の利益は同年第3四半期から5.1%増加しています。

○売上高は前年比5.1%増、前期比4.4%増となりました。2016年通年では2.3%増にとどまりました。

○今後の業績見通しは現状維持もしくは改善となり、市場では楽観的なムードが引き続き支配的となっています。

○しかしながら、企業発表の業績見通しは一層の不透明感を示しています。
  *楽観的とか悲観的というのではなく、ただ「分からない」ということです。

==> 2016年第4四半期の配当は記録的水準、しかし配当の伸びは引き続き鈍化

○米国企業はレパトリの一部を配当に回すと思われますが、より多くの金額が自社株買いとM&A資金に回されるとの予想が殆どです。

==> 成立した買収案件と白紙になった案件

○ペットケア製品、チョコレート、食品、飲料等の製造に従事するMars Inc.は、ペット向けヘルスケアサービスを手掛けるVCA (WOOF)を77億ドルで買収すると発表しました。

○イタリアのサングラスメーカーLuxottica Group(LUX)は、フランスの光学用レンズ企業Essilor International(ESLOY)と合併し、時価総額490億ドルの眼鏡メーカーを設立する計画を明らかにしました。

○たばこ大手のBritish American Tobacco(BTI)は、同業のReynolds America(RAI)の未保有株の57.8%を、より一層のプレミアムを上乗せした494億ドルで取得する取引を完了したと発表しました。

○ネットワーク機器大手のCisco(CSCO)は新規株式公開を計画していたAppDynamicsを37億ドルで買収する計画について公表しました。

○ライバル社も関心を示す中、数カ月に及ぶ交渉を経て、ヘルスケア製品大手Johnson & Johnson(JNJ)は、欧州最大のバイオ医薬品会社Actelion(ALOIY)を300億ドルで買収すると発表しました。

○エネルギー企業WGL Holdings(WGL)は、AltaGas(ATGFF)を約64億ドルの現金で買収することを公表しました。

○通信サービス大手のVerizon(VZ)がケーブルTV大手のCharter Communications(CHTR)の買収を「検討している」と報じられました。

○米国の司法当局は、医療保険会社Aetna(AET)による同業Humana(HUM)の買収計画について、反トラスト法に違反するとして認可しないとの判断を示しました。

==> 12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比15万6,000人増と、予想の17万5,000人増を下回りました。一方、11月分は従来発表の17万8,000人増から21万4,000人増に上方修正されました。2016年の雇用者数の増加はネットで220万人となり、6年連続で年間200万人を上回りました。

○失業率は2007年8月以来の最低水準であった4.6%から4.7%に上昇しました。

○労働参加率は前月の62.6%から62.7%に小幅上昇しました。

○週平均労働時間は横ばいの34.3時間でした。

○時間当たり賃金は前月比0.4%増加しました(11月の25.90ドルから26.00ドルに増加)。

==> トランプ大統領の政策に応える形で、複数の企業が米国内での雇用を増やす意向を表明

○Amazon(AMZN)は新たに10万人を雇用すると発表し、Wal-Martは1万人の人員増計画を約束しました。
  *Apple(AAPL)、Alibaba(BABA)、Foxconnも雇用を増やす意向を明らかにしました。

○しかしながら、小売業界では人員削減が進んでいます。
  *百貨店大手Macy’s(M)はホリデーシーズンの売上不振を理由に、予定していた閉鎖店舗数をさらに増やして100店舗(当初は63店舗)とし、併せて10,000人(当初は3,900人)の人員削減を行うと発表しました。

※「空前のトランプ政治ショーと続く楽観 (5)」に続く。

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