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2017年02月07日20時00分

【特集】農産品・食品「インド展開」の新フロンティア <株探トップ特集>

クボタ <日足> 「株探」多機能チャートより

―巨大な成長余地を持つ インドへの各社取り組みを追う―

 日本の農業に限界を感じた関連企業は次なる土壌を求めてアジアに進出している。農林水産省は昨年、インドの農業農民福祉省との間で「農業および食品関連産業分野」に係る協力覚書を締結した。両国は今後、フードバリューチェーン(農産品の生産、製造および加工、流通および消費を通じた付加価値の連鎖)や、農産品・食品の地理的表示の保護などについて協力していくとしている。農水省は食産業の海外展開に関する審議を重ねており、今回の締結で日印の協力関係が日増しに強くなる今、独自の戦略で進出している企業に注目したい。

●進む農業の効率化

 日本国内の農業人口は192万人と、全人口のわずか2%前後にまで減少している。就業者の平均年齢も66歳と高齢化の一途をたどり、市場規模の拡大は厳しい状況だ。しかし、国連の推計によると世界人口は2050年までに97億人に達するという。限られた農地で巨大な食糧需要に応えるには、やはり効率化が必要となる。インドは人口が約12億人まで増加した上に、GDPも年率約7%と右肩上がりの成長を続けており、他のアジア諸国のなかでも異彩を放っている。さらに、モディ首相は農業に注力する姿勢を見せており、海外展開を進める日本の農業関連企業にとって、成長余地のある インドに注目するのは必然となってくるのではないだろうか。

 クボタ <6326> は08年からインドに進出。広大なインドの農地にトラクターを輸出している。現地のニーズに合わせた多目的トラクターを投入して市場の拡大を図る。円高の影響を吸収し、17年12月期も営業増益が続くとの見方が強い。

 住友化学 <4005> は農薬を海外に輸出している。昨年6月にインドの農薬5位のエクセルクロップケア社を買収した。「インドの農薬市場は17億~18億ドル程度で、世界で9位の市場規模に位置している。まだ市場の成長に期待ができるため、買収に至った」(同社IR部)。インド国内における同社の農業事業は10位台に位置していたが、買収後には4位に急上昇。今後も世界規模で販売網を拡大していく。

 国内で殺虫剤の「フジワン」「アプロード」を展開する日本農薬 <4997> も、インドに進出している。殺虫剤「フェニックス」の原体を輸出し、現地の農薬企業と提携して販売している。インドの農薬製造販売を手掛けるハイデラバード・ケミカルを14年に買収してから着実に販売網を拡大しており、海外売上高比率の貢献に注目したい。

●希少市場に高機能商品で参入し拡大狙う

 機能性の高い食品をインド市場に展開する企業がある。J-オイルミルズ <2613> は豊田通商 <8015> とインド食用油メーカーで合弁会社を設立、13年秋からインド市場に進出した。複数の香辛料を使用するインドカレーには、実は多量の油が使われているほか、揚げ物料理が多く、インド人の油の年間摂取量は意外と多い。そこに注目した新会社では、増加する中間層向けに脂質を減らす業務用油脂「FRY MORE」シリーズ(大豆油・パーム油)を販売している。従来の油よりも劣化しにくく、3~4回で油を交換するところを5~6回まで使えるように工夫している。「インドの食用油からみると、『FRY MORE』は微々たるもの。だが、機能性を謳ったものは市場に少なく、多様な文化を持つインドでは一定の受け入れ層が存在している。今後もその層を徐々に広げていきたい」と同社IR担当者は語った。販売数量は順調に増加しており、今後も中間所得層の拡大に伴って持続的な成長が期待できそうだ。

 また、インドでは即席麺の市場が急拡大していることを背景に、東洋水産 <2875> と味の素 <2802> は16年にインドに合弁会社を設立し、若年層をターゲットとした即席麺を販売している。また、日清食品ホールディングス <2897> は14年にインドで第3工場を稼働し、現地向けの戦略商品を生産。三菱商事 <8058> は日清食品と15年に戦略提携を締結し、インドを含む東南アジアでの即席麺事業に参入している。カゴメ <2811> もまだ市場の小さいトマト加工品に目をつけ、三井物産 <8031> とインドの大手食用油脂・大豆粕メーカーのルチ・ソヤ社と共同で事業会社を13年に設立。世界的外食チェーン向けビジネスの展開を目指すとしている。

 インドは、宗教上の理由でベジタリアン(菜食主義者)が多く、野菜を摂取する量も多い。それを見込んでサカタのタネ <1377> は08年に進出し、現地で種子を生産。また、キリンホールディングス <2503> 傘下のトキタ種苗が現地法人で研究開発・営業体制を強化しており、農業市場へ着々と地盤を固めている。

株探ニュース

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