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【特集】JBR Research Memo(3):営業利益が前期比38.0%増と5期ぶりに最高益を更新

JBR <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算動向

(1) 2016年9月期の業績概要

ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2016年9月期の連結業績は、売上高が前期比4.7%減の11,552百万円、営業利益が同38.0%増の823百万円、経常利益が同57.2%増の878百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が27百万円(前期は176百万円の損失)と減収増益決算となった。前下期に環境メンテナンス事業や自動車賃貸事業等から撤退したことで売上高は減収となったものの、これら不採算事業がなくなったことに加えて、会員事業や少額短期保険事業が順調に拡大したこと、並びに広告宣伝費が前期比で165百万円減少したことにより、営業利益は5期ぶりに最高益を更新した。環境メンテナンス事業と自動車賃貸事業の撤退による業績への影響額は、売上高で1,126百万円の減収、営業利益で240百万円の増益要因となった。コア事業となる4事業(コールセンター事業、会員事業、企業提携事業、少額短期保険事業)だけで見ると、売上高は前期比4.4%増の11,489百万円、営業利益は同26.5%増の1,852百万円と過去最高をいずれも更新している。

8月時点の会社計画値との比較では、売上高はほぼ計画並みとなったものの、営業利益はやや下回る格好となった。これは2016年5月に事業譲受したリペア事業の初期費用がかさんだことが主因となっている。また、当期純利益に関しては特別損失としてのれん償却額413百万円、減損損失315百万円、投資有価証券評価損106百万円を計上したことにより、会社計画を下回った。のれん償却額及び減損損失の中身は主に、JBRあんしん保証を子会社化した際に発生したのれんの評価減として382百万円、リペア事業に関連するのれん等の資産再評価で212百万円となっている。

(2)事業セグメント別動向

a)コールセンター事業
コールセンター事業の売上高は前期比9.0%減の608百万円、営業利益は同3.0%減の171百万円となった。市場の競争激化により主要サービスの成約件数がいずれも減少したことが業績低迷の要因となっている。サービス別で見ると、売上高の約6割を占めるカギ部門が前期の62千件から51千件と2桁減となったほか、水回り関連が46千件から45千件、ガラス関連が18千件から16千件、パソコン関連が15千件から14千件となった。

b)会員事業
会員事業の売上高は前期比7.6%増の4,932百万円、営業利益は同17.2%増の955百万円となった。主力の「安心入居サポート」だけでなく、「あんしん修理サポート」や「学生生活110番」など各種サービスの会員数が順調に拡大していることが収益拡大に要因となっている。

2016年9月末の有効会員数は全体で前期末比157千人増の2,046千人となった。内訳を見ると、売上高の約6割を占める「安心入居サポート」が前期末比3千人増の844千人、「あんしん修理サポート」が同79千人増の306千人、「学生110番」が同24千人増の235千人、2015年2月より新たに開始した「家のあんしんパートナー」※が同143千人増の172千人といずれも拡大した。

※NTTドコモ<9437>が提供するdリビング(月額450円)サービスのことで、生活トラブルサポートや家事サポートサービスなどがある。

「あんしん修理サポート」については、2016年3月に競合であった(株)ワランティマートが民事再生手続きを申請したこと、家電量販店や住設会社などの取扱店舗数が増加したことが会員数の伸びにつながっている。また、「学生110番」についても商品を取り扱う大学数が150校と年々増えており、会員数も順調に拡大している。

c)企業提携事業
企業提携事業の売上高は前期比6.0%減の3,030百万円、営業利益は同55.2%増の517百万円となった。市場競争の激化に伴う成約件数の減少により、包括提携事業が減収となった。コールセンター受託事業においても、受託企業数は前期末比6社増の250社と拡大したものの、人員不足などの影響もって売上高は伸び悩んだものと見られる。一方、利益面では広告宣伝費の費用削減効果によって2ケタ増益となった。

d)加盟店事業
加盟店事業では、プロモーション業務等による加盟店への売上高が前期比32.7%減の96百万円となり、営業損失は355百万円(前期は318百万円の損失)となった。同事業は、生活救急車全般のプロモーションに関連する広告宣伝費を負担しているため、コストセンター的な位置付けとなっている。なお、2016年9月末の加盟店は前期末比32店舗増の535拠点、協力店は同294店舗増の1,738拠点とそれぞれ順調に拡大している。

e)少額短期保険事業
少額短期保険事業の売上高は前期比15.4%増の2,918百万円、営業利益は同49.6%増の207百万円となった。賃貸住宅の家財を補償する「新すまいRoom保険」の契約が順調に拡大したほか、自転車の交通事故傷害保険「ちゃりぽ」も好調に推移した。増収効果に加えて、保険業法第113条繰延資産償却費が前期の32百万円から11百万円に減少したことも増益要因となった。

f)その他事業
その他の事業の売上高は、2016年5月より事業譲受によりリペア事業が加わったが、2015年4月に輸入医療機器のメンテナンス事業を行っていた(株)アットワークングの全株式を売却し、連結範囲から除外した影響により、売上高は前期比75.8%減の112百万円、営業損失は149百万円(前期は110百万円の損失)となった。リペア事業に関しては当初の想定よりも収益化に苦戦しており、2016年9月期においてのれんを含めて減損損失212百万円を一括計上した。現在、提携先である大手ハウスメーカーと利益を適正に得られるよう条件の見直し交渉を進めているほか、販路についても同社の「安心入居サポート」の会員宅に訪問する際に需要の掘り起こしを進めるなどしており、2017年3月までに単月での黒字化を目指している。ただ、リペア事業については案件ごとに補修費用も千差万別であり、事業の効率性が他の事業と比較して劣ることから、今後1年間取り組んでみて継続していくかどうか検討してくことになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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