【特集】<話題の焦点>=EV普及本格化で関心集めるリチウムイオン電池関連銘柄
日産自 <日足> 「株探」多機能チャートより
米国最大の自動車市場であるカリフォルニア州のEV、燃料電池車(FVC)など排ガスを出さない無公害車を一定比率以上販売しなければならないZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制強化や、世界最大の自動車市場である中国のEV販売促進策などが普及を促進させる可能性が濃厚となっているためだ。
こうしたなかで、ルノー・日産自動車<7201>連合は、2010年12月の発売以来、昨年9月時点で累計35万台となっているEV販売台数を、2020年には150万台に拡大する方針だ。また、従来ハイブリット車に重点を置いていたトヨタ自動車<7203>も20年までにEVの量産をスタートすることを表明している。このEV普及本格化を支えるのが中心部材のリチウムイオン2次電池(LiB)だ。日本には、有力な電池の完成品メーカーをはじめ、部材、素材、製造装置などを手掛ける企業がそろっている。
LiBで国際宇宙ステーション用にも採用されるほど高い技術力を持つジーエス・ユアサ コーポレーション<6674>は、国内外の主要自動車メーカーのEV向けに納入実績がある。また、関東電化工業<4047>のLiBの電解液向け化合物「六フッ化リン酸リチウム」は、高品質な車載向けで強みを発揮しており、電気自動車の生産台数増加に伴って中期的な成長が期待される。会社側では、これに備えて「六フッ化リン酸リチウム」の製造能力を現在の年産2400トンから、17年4月に同5400トンへ引き上げることを明らかにしている。
さらに、LiB用電解質を強化しているステラ ケミファ<4109>は、同電解質の中国現地企業との合弁会社を17年前半メドに稼働させる。また、LiB正極材料専業の田中化学研究所<4080>は、NEC<6701>、積水化学工業<4204>、独立行政法人産業技術総合研究所と共同で、新規鉄マンガン系正極を使った次世代LiBを開発したと発表している。現在実用化されているマンガンスピネル系正極を使ったLiBの約1.7倍のエネルギー密度を実現している。これに伴い、LiBの低コスト化、環境対応自動車のさらなる航続距離延伸、定置用蓄電システムの小型軽量化などにつながるという。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)