【市況】米国株式市場見通し:10-12月期決算発表がピークを迎える
トランプ氏が第45代大統領に就任した。まずは環太平洋連携協定(TPP)からの脱退や北米自由貿易協定(NAFTA)との再交渉での手腕が注目されるだろう。また国内向けにはオバマケアの撤回を最優先で取り組むことを表明している。昨年11月の大統領選後から続いた相場上昇の勢いは弱まりつつあるが、今週以降は次期政権が公約に掲げる経済政策の詳細を見極める動きから政策・政治動向を受けた値動きが激しくなると予想される。
今週10-12月期決算発表がピークを迎える。ファストフードのマクドナルド(23日)、検索サイトのヤフー(23日)、医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソン(24日)、通信大手のベライゾン(24日)やAT&T(25日)、金属大手のアルコア(24日)、航空・宇宙関連製品のユナイテッド・テクノロジーズ(25日)、航空機のボーイング(25日)、半導体のクアルコム(25日)、自動車のフォード(26日)、ケーブルテレビのコムキャスト(26日)、コーヒーチェーンのスターバックス(26日)、ソフトウェアのマイクロソフト(26日)、検索大手のアルファベット(26日)、エネルギーのシェブロン(27日)などの決算発表が予定されている。アルコアは、昨年11月の分社化後、初めての決算となり旧アルコアのアルミ精錬などの上流部門の業績を発表となる。トランプ大統領が高額な戦闘機を批判したことから、ユナイテッド・テクノロジーズやボーイングなどの業績見通しにも注目が集まるだろう。
1月20日時点のファクトセット社の調査によると、S&P500構成銘柄のうち約12%が決算発表を行い、61%が利益、47%が売上高のアナリスト予想を上回った。S&P500全体では、先月末時点で3.0%の増益が予想されていたが、金融や公益事業を中心とする複数のセクターで利益見通しが引き上げられ、20日時点で3.4%増まで上昇している。大統領選後の堅調な株式相場や金利上昇を受けてモルガン・スタンレーやゴールドマンサックスの決算が大幅増益となったことが主因だ。
経済指標では、12月中古住宅販売件数(24日)、12月新築住宅販売件数(26日)、12月景気先行指数(26日)、12月耐久財受注(27日)、10-12月期GDP速報値(27日)などの発表が予定されている。10-12月期GDP速報値は2.2%の成長が予想されているが、大幅に改善すれば利上げ上昇期待が強まり、金融セクターに買いが広がるだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ