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【特集】明光ネット Research Memo(3):第1四半期は4四半期ぶりの増収増益

明光ネット <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算動向

(1)2017年8月期第1四半期の業績概要

明光ネットワークジャパン<4668>の2017年8月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比8.9%増の4,476百万円、営業利益が同43.4%増の544百万円、経常利益が同62.0%増の599百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が326百万円(前年同期は94百万円の損失)となり、四半期ベースで4四半期ぶりの増収増益となった。

売上高は、主力の明光義塾事業の減収が続いたものの、前第4四半期から新規連結した国際人材開発、古藤事務所の寄与等により増収となった。営業利益は、新規連結子会社の寄与に加えて、明光義塾直営事業や予備校事業のコスト削減効果により増益となった。増益要因の約7割は新規連結子会社の寄与によるものとなっている。また、特別損失として計上した講師給与調整金449百万円が無くなったことにより、四半期純利益は大幅に改善した。

明光義塾事業における第1四半期末の教室数は、全体で前年同期比29教室減少の2,101教室、生徒数は同4.9%減の137,071人といずれも4四半期連続の減少となった。生徒数については、生徒募集活動期間として年間で最も重要な時期となる2?4月にかけて、2016年はアルバイト講師の労務管理問題への対応に追われたため、募集活動を十分に行えなかった影響が当第1四半期も続いた格好だ。生徒数の減少傾向は当第2四半期まで前年同期比で4%前後の減少が続く可能性があるが、労務管理問題についてはほぼ収束しており、2017年2?4月は通常の生徒募集活動体制に戻ることから、当第3四半期以降は生徒数の増減率も改善に向かうものと弊社では見ている。

(2)セグメント別動向

a)明光義塾直営事業
明光義塾直営事業の売上高は前年同期比0.7%減の2,137百万円、セグメント利益は同100.6%増の105百万円となった。このうち、同社直営事業の売上高は前年同期比1.5%減の1,484百万円、営業利益は同13.6%減の146百万円となり、子会社の(株)MAXISエデュケーション(以下、MAXIS)の売上高は同1.4%増の653百万円、営業損失は5百万円(前年同期は81百万円の損失)となり、MAXISの収益改善が同事業セグメントの増益要因となった。MAXISについては労務管理問題への対応に関連した人件費や諸経費の増加で前年同期の収益が悪化したが、当第1四半期はこうした費用が減少したことが損益改善要因となった。なお、MAXISののれん償却額は35百万円となっている。

11月末時点の教室数(MAXIS含む)はFCオーナーからの譲渡もあって、前年同期比11教室増加の324教室と増加したが、生徒数は同3.2%減の25,128名となった。生徒1人当たり売上高が2%強上昇した格好となっているが、これは生徒数の減少を補うべく、在籍生が受講する授業コマ数の増加を推進したことが主因となっている。また、新サービスである中学生を対象とした理科・社会のオンライン学習サービスや高校生を対象とした映像授業なども着実に増加し、売上に寄与している。

b)明光義塾フランチャイズ事業
明光義塾フランチャイズ事業の売上高は前年同期比6.2%減の1,265百万円、セグメント利益は同7.0%減の661百万円となった。11月末の教室数は前年同期比40教室減少の1,777教室(MAXIS直営教室除く)、生徒数は同5.3%減の111,943名となった。不採算教室の閉鎖を含むスクラップ&ビルドを進めたことで教室数が減少したほか、新規生徒獲得に向けた募集活動が十分できず、1教室当たり生徒数も減少したことが減収減益要因となった。

c)予備校事業
連結子会社の(株)東京医進学院による予備校事業は、売上高が前年同期3.8%減の146百万円、セグメント利益が同77.4%増の23百万円となった。2016年3月に横浜校を閉鎖し3校体制にしたことで、11月末の生徒数は前年同期比9.5%減の143名と減少したが、生徒1人当たり売上高の増加に加えて、固定費の削減効果により増益となった。また、地方都市での需要を開拓するため、地方都市の高校での説明会や入試相談会を実施したほか、ホームページのリニューアルや各種イベントによる認知度の向上を図るなど、2017年春の新規生徒獲得に向けた取り組みを強化した。

d)その他事業
その他事業の売上高は前年同期比102.8%増の927百万円、セグメント利益は81百万円(前年同期は59百万円の損失)となった。増収増益要因の大半は新規連結した国際人材開発、古藤事務所の寄与によるもので、特に、利益面では古藤事務所の貢献が大きかったと見られる。古藤事務所は、大学入試問題に関するソリューションを主力事業としており、当第1四半期及び第2四半期が繁忙期となるためだ。

主力事業の動向を見ると、早稲田アカデミー個別進学館は売上高が前年同期比11.5%増の116百万円、営業利益が1百万円(前年同期は19百万円の損失)と増収増益となった。11月末の校舎数は前年同期比で2校増(同社直営1校増、FC1校増)の31校(同社直営7校、MAXIS直営4校、早稲田アカデミー直営10校、FC10校)となり、在籍生徒数は全校舎で同14.8%増の2,548名となった。1教室当たり平均生徒数についても前年同期の76.6名から82.2名と順調に増加している。2016年春の大学合格者実績数においてGMARCH※以上で個別指導学習塾の中でトップの合格実績を出したほか、中学・高校受験でも難関校での合格者実績が増え始めるなど、難関校受験対策向け個別指導学習塾としての認知度向上が進んでいることが生徒数及び売上高の増加につながっている。なお、FC校については前期まで明光義塾チェーン加盟のオーナーに限定していたが、当期より一般のFCオーナーの募集も開始しており、今後のFC校の拡大を目指していく。

※学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政大学の頭文字を取ったもの。

キッズ事業については、学童保育の需要が旺盛な中で順調に生徒数が拡大している。11月末のスクール数は13スクール(直営7スクール、運営受託6施設)と前年同期と変わらないが、直営スクールの生徒数はレギュラー会員で前年同期の195名から234名と増加し、売上高は増収傾向が続いている。利益面では開校して間もないスクールが過半を占めるため損失が続いているものの、1校目が既に黒字化しているほか、2014年に開校した2校も黒字が見込める水準までなっており、損失額は縮小している。なお、運営受託に関してはバディスポーツ幼児園の4スクールで学習プログラムを提供しているほか、幼稚園の課外授業や私立小学校のアフタースクールの運営受託などにも展開しており、今後もニーズに合わせた形態によりサービスを提供していく方針となっている。

明光サッカースクールは売上高が前年同期比1百万円増の33百万円、営業損失が3百万円(前年同期は2百万円の損失)となった。11月末のスクール数は前年同期比横ばいの16校(うちFC1校)、生徒数は同3名減の1,010名とほぼ横ばい水準となった。ここ数年、同事業は伸び悩んでいるが、同社では既存校の収益力強化により早期の黒字化を実現することを最優先課題としている。このため、コーチ・スタッフの研修強化や運営体制の見直し等による指導力の向上と、スクール生への定期的なカウンセリング実施等によって顧客満足度の向上を図りながら、スクール当たり生徒数を拡大していく方針となっている。

連結子会社の(株)早稲田EDUが運営する日本語学校「早稲田EDU日本語学校」(1校)については、中国や東南アジア等からの留学生増加を受けて、11月末の生徒数が前年同期比21.4%増の584名(定員600名)とほぼ定員近くまで達した。売上高も生徒数の増加に合わせて2桁増収と好調に推移し、営業利益ものれん償却額11百万円控除後で黒字基調を継続した。直近においても入学の需要は旺盛なことから、同社では分校の開設もしくは校舎移転による収容能力の拡大を進めていく計画となっている。

一方、前第4四半期より連結対象となった国際人材開発が運営する日本語学校「JCLI日本語学校」(3校)については、11月末の生徒数が1,044名(定員1,380名)となり、前期末比で125名の増加となった。売上高は2億円弱程度、営業利益はのれん償却額30百万円控除後で若干黒字になったと見られる。

また、古藤事務所については、売上高、営業利益ともに堅調に推移した。古藤事務所については上半期で年間売上高の大半を占める上期偏重型の収益構造となっており(2015年3月期の売上実績は405百万円)、営業利益ものれん償却額18百万円控除後で黒字になったと見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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