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【特集】底打ちから上昇へ、2017年は「インバウンド関連」大復活の年か <株探トップ特集>

復活の気配を漂わせるインバウンド関連株。訪日外客数の増加は継続中で、春節接近のなか再び注目が当たり始めた――

―訪日客増加は止まらず、踊り場通過で月次売上も回復の兆し―

 中国人訪日客による、いわゆる「爆買い終了」で売り叩かれたインバウンド関連銘柄だが、ここにきて見直し機運が台頭している。広い裾野を持つ関連銘柄だが、株価は既に回復色を鮮明にしているものもある。昨年は対前年比で高いハードルに苦しめられたが、年が変わり新しいステージへ突入するインバウンド関連銘柄、中国の春節による大型連休が接近するなか、再び注目が集まる可能性がある。

●迫る春節、再び注目局面へ

 観光庁は、きょう17日大引け後に、2016年12月と同年間の訪日客数を発表した。12月の訪日外客数は、前年同月比15.6%増の205万1000人で、これまで12月として過去最高だった15年(177万3000人)を27万人程上回った。

 また、16年の訪日客数は前年比21.8%増の2403万9000人で、統計を取り始めた1964年以降で最多となった。クルーズ船寄港数の増加や、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充などが主な増加要因としている。そのなか、中国は前年比27.6%増の637万人と昨年に引き続き最大の訪日旅行市場となった。訪日客数の伸び率鈍化も伝わるが、政府が目標に掲げる20年までの訪日客4000万人に向けての動きは着実に成果を見せている。

 時計やバッグ、指輪、毛皮などの高額商品にとどまらず化粧品や日用品、さらにレジャー関連などのコト消費に至るまで、中国人訪日客を中心とする訪日外国人の「爆買い」は、消費関連セクターに対するこれまでのマーケットの概念をポジティブに飛躍させる起爆剤となった。安倍政権の政策的なフォローの風も受け、インバウンド消費が株式市場の有力な物色テーマに浮上したのは必然の流れであったといってもよい。ところが、16年1-3月期以降は、急速にこの特需が剥落する格好となった。円安進行に歯止めがかかったことや、中国では折からの景気減速や関税強化の動きが追い打ちをかけた。

 今年の春節による大型連休は1月27日から2月2日の7日間で、また多くの中国人観光客が日本を訪れることになる。とはいえ、インバウンド関連はテーマとして以前のような輝きを失い、あれほど市場の注目を集めた訪日外客数も手掛かり材料としてあまり機能しなくなった現実がある。しかし、2017年はこのネガティブな流れに変化の兆しが出ている。

●変化の兆しを見逃すな!

 市場関係者もこの変化について前向きな評価を示す。大手ネット証券のアナリストは、「ここ最近の消費関連株の動向を見る限り既に悪材料出尽くし的なイメージが漂う。高額消費の代表である百貨店株は三越伊勢丹ホールディングス <3099> や高島屋 <8233> などいずれも昨年の年央を底に戻りに転じており、(信用売り残が買い残を上回るなど)株式需給面からも上値に重さはない。ビックカメラ <3048> が12日引け後に発表した16年9-11月の連結業績はインバウンド消費減速の影響で最終利益が26%減少したが、翌日の株価はこれを大きく嫌気するかたちとはならなかった。この動きをみてもインバウンド関連株への売り圧力は希薄化していることが確認できる」としている。

 そして、今後の見通しについては「中国人観光客のインバウンド消費剥落は中国景気の減速よりも人民元安に伴う部分が大きかった。自国の通貨が安ければ海外で買い物をするには不利となる。しかし最近は、中国当局は短期金利の引き上げや、海外への不動産投資などを抑制して人民元安に歯止めをかける政策で対処しており、やや強引な嫌いはあるものの足もとはその効果が確認できる状況だ。ドル円相場も金利差を背景に中期的にドル高・円安基調が継続するとすれば、ドルにリンクする人民元は円に対して上昇する理屈でインバウンド消費には有利となる。指標的にも小売関連企業の月次売上高は前年同月の発射台が低くなる分、プラス転換してくるケースが増え、投資家の認識も変わってくるだろう」と指摘している。

●呪縛からの解放

 百貨店のほか、インバウンド消費の中核ともいわれたドンキホーテホールディングス <7532> や、ドラッグストアのマツモトキヨシホールディングス <3088> 、ツルハホールディングス <3391> なども株価は底打ちから反攻態勢をとってきている。また資生堂 <4911> は、既に爆買い剥落の呪縛から解き放たれ高値圏で推移している。

 そのなか、ドンキホーテホールディングスでは「インバウンドの構成比はまだ全体の約5%にすぎず、海外からのお客様は今も毎月増加しており、伸びしろは依然あると思っている。いわゆる爆買いは沈静化しているが、それを客数でカバーしている」(広報室)としている。また、追い風材料になるとみられる、ここにきての急激な円安については、「海外で生産したものを展開している部分もあり、仕入れなどさまざまな視点で捉えなければならない。為替で一喜一憂せず、きちんと対応していく」(同)と冷静な姿勢をみせる。

 藤田観光 <9722> 、共立メンテナンス <9616> など宿泊施設を展開する銘柄は、株価に底打ち感はあるものの戻りは鈍い。ただ、政府が訪日客4000万人を目指すなか、いまだ宿泊施設の供給不足が伝えられており、ホテル関連株には再びスポットライトが当たる可能性も高い。

 年が改まり、爆買いを背景にした「対前年比」という高いハードルの呪縛から解放されるインバウンド関連銘柄、いま新たなステージを迎えようとしている。インバウンド銘柄の逆襲は始まったばかりだ。

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