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【特集】「迫る米大統領就任式、注目ポイントを緊急チェック!」 第一生命経研・藤代宏一主任エコノミストに聞く!<直撃Q&A>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
 20日に予定される米国の大統領就任式が目前に迫ってきた。新大統領に就任するドナルド・トランプ氏は、「国境税」に前向きな姿勢を打ち出しているほか、環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては就任初日に脱退することを表明。米国が膨大な貿易赤字を抱える中国に対しても厳しい姿勢を示している。昨年秋以降のトランプ・ラリーは大統領就任式で、大きな節目を迎えるのか。また、その注目点とは何か。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストに聞いた。

Q1 トランプ氏が20日に米大統領に就任します。就任式のポイントは何でしょうか

 11日の記者会見では、規制緩和や減税など具体的な経済政策への言及がなく失望感を呼んだ。20日の就任式に対するポイントも同じだろう。経済政策に全く触れないということはないだろうが、具体的な話にどこまで触れられるかが注目される。個人的には、大統領就任式は、警戒トーンで挑むイベントだとみている。経済政策に関しては、あまり具体的な話はないかもしれないが、その一方、メキシコとの壁の建設や国境税の話などは出てくるかもしれない。ただ、トランプ氏の発言はどこまで本気か、市場は依然、判断しかねている面はある。それだけに、過激な発言だけでは材料視されなくなりつつあると思う。

Q2 TPP脱退など保護主義的な姿勢を鮮明とした場合の市場の反応は?

 TPPからの脱退に関しては、ほぼ織り込み済みだと思う。減税やインフラ投資などに具体的な話がなかった場合、リスクオン相場の巻き戻しの動きに拍車をかけるかもしれない。しかし、それで相場が大崩れするとは思えない。全体相場はしばらく調整局面とみているが、今後、1カ月程度を視野に入れた場合、日経平均株価の下値は1万8500円程度だと思う。逆にポジティブな内容が出た場合、アク抜け感から1万9500円程度への上昇は見込めるとみている。

Q3 トランプ氏の大統領就任後に注目すべきイベントは何ですか?

 2月にかけての、一般教書演説や予算教書の内容は注目されるだろう。ただ、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げが実施されてもおかしくない状況となっている。それだけに、今後、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者からどんなシグナルが出てくるかが気になる。トランプ氏の金融政策への姿勢は、依然不透明感があり、来年任期を迎えるイエレン米FRB議長のポストをどうするかを含め、その政策を確かめていくことになると思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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