【市況】S&P 500 月例レポート ― 踊るトランプ氏、宴を謳歌した米投資家 (4) ―
NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
※(3)から続く。
●投資家が押さえておくべきポイント(1)
12月の重要ポイントは以下の通りです。
2016年のS&P500は9.54%上昇、配当込みのトータルリターンはプラス11.96%と良好な結果に。
2016年のスタートは順調ではありませんでした。S&P500は2月の底値(2月11日)までに年初来で10.51%下落しました。2016年の初日は1.53%下落、最初の1週間の下落率は過去最悪の5.96%でした。
→政策への期待から投資資金が米国に回帰、すなわち「バック・イン・ザU.S.」(ビートルズの「バック・イン・ザU.S.S.R.」ではありません)
○グローバル市場は米国市場に対する出遅れを取り戻し、12月にパフォーマンスが改善しました。
→2016年第4四半期は0.87%上昇しましたが、米国の3.58%の上昇を除外すると1.97%の下落
→2016年通年では、グローバル市場は6.10%上昇しましたが、米国の10.30%の上昇を除外すると1.79%の上昇
→過去3年間では、グローバル市場は3.97%上昇しましたが、米国の19.94%の上昇を除外すると10.00%の下落
○政策に対する期待を背景に、記録更新が相次ぎました:議会は1月3日に開会、トランプ新政権の発足は1月20日
→規制緩和、追加利上げ、インフレの加速により、金融セクターは12月に3.75%上昇、大統領選挙以降では16.51%上昇、2016年通年では20.14%上昇
→12月の上昇相場で11セクターすべてが上昇
→2016年:エネルギーセクターは23.65%上昇しましたが、2014年の水準を5.47%下回りました。ヘルスケアセクターは4.36%下落
○航空機メーカー大手BoeingとLockheedがトランプダンス(値下げ交渉)の幕開け役となりました。交渉はまだ継続しています。
○トランプ次期大統領のツイートをフォローすべきです。さもないと、取引で遅れをとるでしょう。
→今年も年初に下落するか:2016年第1週の特筆すべき出来事
○2016年の最初の5日間は、S&P500やNYダウにとって過去最悪のスタートとなりました。具体的には、投資家はS&P500の下落により1兆500万ドルを失い、グローバル市場が1兆5,900万ドル下落したことにより、合計で2兆6,400万ドルを失いました。
→最高値更新
○S&P500は終値で史上最高値を12月にさらに4回更新し、2016年通年では18回更新(2015年は10回、2014年は53回)
○NYダウは終値で史上最高値を12月に9回更新(2016年は25回、2015年は6回、2014年は38回)
→2万ドルを試す展開:ゴールドマンサックス出身のトランプ次期政権の閣僚はNYダウを2万ドルに押し上げるでしょうか
→12月のパフォーマンス
○S&P500は11月の2198.81から1.82%上昇し、2238.83で取引を終えました(2015年末は2044.94)。NYダウは11月の19,123.58から3.34%上昇し、19,762.60で取引を終えました(2015年末の17,425.03から13.42%上昇)。
○原油価格は11月の49.26ドルから9.4%上昇し、53.89ドルで取引を終えました(2015年末の37.06ドルから45.4%上昇)。
○米国10年国債利回りは11月の2.39%から2.45%に上昇して取引を終えました(2015年12月は2.27%)。
○金価格は11月の1,173.80ドルから1.2%下落して1,152.00ドルとなりましたが、2015年末の1,060.50ドルを8.67%上回っています。
○英ポンドは対ドルで11月の1.2526ドルから1.2345ドルに下落し(2015年12月は1.4776ドル)、ユーロは対ドルで1.0595ドルから1.0520ドルに下落し(同1.0861ドル)、円は対ドルで114.41円から117.00円に下落しました(同120.66円)。
○VIX恐怖指数は11月の13.33から14.04に上昇して取引を終えました(2015年末は18.21)。
→OPECと非OPEC諸国は原油の計画生産量の削減を決定
※「踊るトランプ氏、宴を謳歌した米投資家 (5) 」に続く
株探ニュース