【特集】大塚竜太氏【身構える市場、トランプ相場はどこへ行く】(1) <相場観特集>
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
―トランプ会見を前に警戒感、日経平均2万円乗せはいつ―
日経平均株価は大発会に目の覚めるような急騰でスタートしたが、その後は高値警戒感から利益確定を急ぐ動きが表面化、目前と思われた2万円大台になかなか手が届かない展開となっている。米国時間11日のトランプ次期大統領の会見を前に目先リスクオフに身構えるムードも浮上するなか、やや気迷い気味の市場をマーケット関係者はどうみているのか。第一線で活躍する識者2人の見解を聞いた。
●「リスク回避は一時的、2万円は通過点に過ぎず」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
目先的な円高や原油市況の下げなどで、東京株式市場は目先リスク回避モードとなっているが、これは一時的な動きにとどまる可能性が高く、大勢上昇トレンドのなかで押し目をいかに拾うかという局面だ。日経平均2万円大台近辺は滞留出来高も薄いゾーンであり、心理的なフシ目ではあっても実際は抵抗ラインとして機能する要素には乏しい。2万円はあくまで上昇相場の通過点に過ぎないとみておいてよいと思う。
新年相場では大型から中小型株へのシフトがみられるが、これは個人投資家などの動きを反映したもので、この地合いが3月期末まで続くわけではない。昨年11月の米大統領選以降のトランプ相場では、外国人投資家の物色対象としてウエートが低かった日本株の買い直される余地はまだ十分に残されており、主力株は中期的な追い風が意識される。外国為替市場でもトランプ次期米大統領の口先介入はあっても、トレンドとしてのドル高・円安は変わらないだろう。基本的に長期金利上昇傾向が続く米国と、イールドカーブ・コントロールで長期金利の低位安定が担保される日本という構図は不変であり、中期的には1ドル=120円台で推移する円安環境が想定される。
10日の株式市場は、現地時間11日にトランプ次期大統領が会見を行う見通しにあり、目先は積極的な買いが入れづらいという背景もあった。米大統領選以降はツイッターを利用した発言を繰り返し、一度も会見を開いてこなかっただけに警戒する投資家心理も理解できるが、ネガティブな材料が噴出するような事態にはならないはずだ。このイベントを通過すれば、不透明感が払拭され、自然体で上値を買う動きが強まりそうだ。
今週末以降に本格化する米企業の決算発表で好調が確認されれば、米国主導の上昇相場が改めて色濃くなりそうだ。東京市場で中長期的に注目される業種は主に2つ。キーワードは良い意味での「インフレ」。まず、米長期金利の上昇などを背景にメガバンクはまだ見直し買い途上で今後に期待が大きい。原油をはじめとする資源価格の上昇を手掛かり材料に総合商社株も買いを集めそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
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