【特集】大谷正之氏【身構える市場、トランプ相場はどこへ行く】(2) <相場観特集>
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
―トランプ会見を前に警戒感、日経平均2万円乗せはいつ―
日経平均株価は大発会に目の覚めるような急騰でスタートしたが、その後は高値警戒感から利益確定を急ぐ動きが表面化、目前と思われた2万円大台になかなか手が届かない展開となっている。米国時間11日のトランプ次期大統領の会見を前に目先リスクオフに身構えるムードも浮上するなか、やや気迷い気味の市場をマーケット関係者はどうみているのか。第一線で活躍する識者2人の見解を聞いた。
●「4-12月期決算を評価して日経平均株価は2万円トライ」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
トランプ次期米大統領については、今月20日の正式就任まではツイッターへの投稿や発言がさまざまに思惑材料視されて、株価変動要因となりそうだ。ただ、就任後は発言もある程度慎重にならざるを得ないとみられる。従来掲げてきたやや過激な面もある経済政策と現実対応を考慮しながら評価する段階を迎えることになる。
1月下旬以降は、17年3月期第3四半期累計(4-12月)の決算発表が本格化し、市場の関心はこちらに向かいそうだ。今回は11月以降急速に進行した円安の企業業績への寄与に期待が高まっている。輸出関連企業のなかで、今期通期業績の上方修正や、アナリストによる来期業績見通し上振れ判断などが話題を集めそうだ。第3四半期累計決算では、トランプ次期米大統領の政策で恩恵が想定される設備投資関連の機械株や素材株に注目している。こうした、好調な業績見通しを織り込みながら日経平均株価の2万円乗せが期待できそうだ。
業績拡大だけでなく、株式需給面も良好な環境が予想される。外国人投資家は、引き続き日本株の組み入れ比率を高めることが見込まれ、個人は押し目買いのスタンスを堅持、日銀による上場投資信託(ETF)買いも下支えとなる。
個別銘柄では、 自動運転やIoT(モノのインターネット)を支えるビッグデータや人工知能(AI)の分野で総合的に高い技術力を持つ富士通 <6702> 。また、スマートフォン部品関連としてだけでなく、自動運転やドローンなど車載情報機器の成長が期待されるアルプス電気 <6770> 。航空券やホテルの予約サイトを運営し、アジア地域への展開に期待が掛かるエボラブルアジア <6191> [東証M]にも注目している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース