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【特集】高橋春樹氏【トランプ上昇相場はどこまで続く】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―途切れない株高、“超強気トレンド”の行方を探る―

 途切れそうで途切れない――。好調な米国経済と株式市場、米長期金利上昇を背景としたドル高・円安の流れも継続するなか、東京株式市場では日経平均株価が躊躇なく1万9000円の道標も通過した。トランプ相場の上昇気流や恐るべしだが、果たしてこの超強気トレンドの切れ目はどこなのか。それとも、「押し目待ちに押し目なし」の相場格言を地で行く展開は当面続くのか。相場の機微を知り尽くした市場関係者の声をまとめた。

●「年末から来年初にかけて日経平均株価2万円乗せも」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 ここまで上昇の勢いがついてくると、 日経平均株価は年内か来年早々にも2万円乗せを達成する可能性が高まってきたと判断している。現段階では、トランプ次期米大統領の政策の実現性に対しては見方の分かれるところだが、日本経済にとってプラスに作用する可能性が濃厚だ。

 トランプ政策の基本は(1)ドル高に象徴される強いアメリカの実現、(2)規制緩和、(3)大幅減税で、これに大規模な財政出動も加わってくる。これらは、1980年代に当時のレーガン大統領が打ち出した経済政策の「レーガノミクス」と、1930年代に世界大恐慌を克服するためにルーズベルト大統領が掲げた「ニューディール政策」を合わせた内容ともいえる。米景気の復調は、日本の主力産業である輸出企業にとって追い風で、米長期金利の上昇は、円安・ドル高を持続させることにつながり、これもプラスとなる。

 来年になると、株式市場では来期の18年3月期の企業業績の織り込みが本格化してくるが、円安の追い風なども作用して来期の増益率がもし10%増程度になると想定すれば、日経平均株価の1株利益は1300円程度に増加し、PERを16倍としても2万800円と株価は2万1000円に接近してくる。上昇ピッチが急速なだけに警戒感も強いが、業績向上がついてくれば、押し目買いスタンスでの投資が奏功しそうだ。

 物色対象としては、バリュー株を中心に据えたい。なかでも出遅れが目立つのが銀行株で、メガバンクの株価は、中期的にはPBR1倍水準まで買い進まれる可能性を秘めている。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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