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【特集】大谷正之氏【トランプ・ラリー“再始動”いつ?】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―伊国民投票否決で再びリスクオフ、識者に聞く年末相場の行方―

 週明け5日の東京株式市場では“トランプ・ラリー”による上昇相場が一服、利益確定売りに押される展開となった。イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票で改憲反対派が勝利し、レンツィ首相の辞意表明で足もとリスクオフモードとなっているが、これが尾を引くかたちになるのかどうか。佳境入りとなる年末相場の動向について、市場第一線で活躍する証券関係者のプロの視点を紹介する。

●「需給関係の良好さも買い支援材料に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 東京株式市場は、前週に終値ベースでの年初来高値を更新し堅調な推移となった。イタリアの憲法改正を問う国民投票で改憲反対派が勝利し、レンツィ首相が辞意を表明した。今後の欧州政局不安を懸念して、きょうは売り優勢となったものの、市場が改憲反対派の勝利をある程度織り込んでいたこともあり、いまのところ日経平均株価へのマイナス影響は極端なものとはなっていない。

 今後、年末に掛けての東京株式市場は、トランプ次期米大統領の政策について、日本にとってのメリット・デメリットの両面を吟味しながらの株価推移となりそうだ。ただ、現状の円安・ドル高基調に大きな変化が無い限り、基本的には堅調展開が続きそうだ。日経平均株価は、当面1万9000円台を目指した推移が想定される。下値は1万8000円台を大きく割り込むことは無さそうだ。

 海外投資家は、日本株の組み入れ比率を低下させていたことから、しばらくは積極的な買い越しが続きそうだ。今後、外国為替市場で、円高・ドル安方向に多少戻ったとしても、外国人投資家にとっては有利となる面もあり、買いスタンス継続となりそうだ。

 当面の物色対象としては、急速に進んだ円安が具体的に業績へ寄与してくる輸出関連銘柄に加え、株価面で出遅れの目立つ銘柄に注目したい。また、信用売り残高の増加など、信用取組面の需給関係が良好な銘柄も見逃せない。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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